今の日本は「クール・ジャパニア」だ――ベンのトピックス
みなさん、ベンのトピックスにおかえりなさい!
日本にはイギリスファッション好きな人が多いですね。韓国や台湾とは違ってイギリスブームは長く続いていて、いろいろな流行りが日本にやってきたと思います。
60年代にはマリー・クワントがデザインしたミニスカート(そうですよ、あれは雨の国の製品です!)やビートルズのサイケデリックなファッション、70年代にはタータンチェックに代表されるヴィヴィアン・ウエストウッドのパンクファッション、80年代にはニュー・ロマンティック。
今でも日本人が大好きなBurberryのトレンチコートは、1800年代に初めてデザインされました。
イギリス最後のカルチャームーブメントは、多分僕が思春期に入る頃、90年代と00年代前半です。あの時は“ロンドンが世界の中心”という雰囲気が国中に漂っていたと思います。
ジョン・ガリアーノやアレキサンダー・マックイーンは世界で最高のデザイナーだと考えられていたし、ナオミ・キャンベルやケイト・モスは世界で最も綺麗なモデルでした。音楽業界ではオアシスやブラーも活躍していました。ダミアン・ハーストやトレイシー・エミンなど、革命的な「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBA)」も忘れてはいけません。
そして、この90年代のムーブメントは「クール・ブリタニア」と名付けられました。今もクールなアーティストたちはいるけど、イギリス中で一体感のあるカッコよさは90年代以降は感じたことがありません。
ごめんなさい。「クール・ブリタニア」の話で長くなってしまいました。
この記事は「クール・ジャパニア」がテーマです。今イギリスには日本に興味がある人がたくさんいるんですよ。
でも実は、昔から日本は注目の存在!
歴史を語るので、なが〜くなりますよ。
イギリスで日本がクールだと思われはじめたのは、日本が鎖国していた時代。オランダを通じて、ヨーロッパ各国に日本のものが行き着いたんです。
1800年代の「ジャポニズム」では、有名な画家であるモネやマネ、ゴッホなどが影響を受けたと言われています。
イギリスではインテリアデザインに大きなインパクトを与えています。
おそらく歴史上で最も多くの人に認められたクリストファー・ドレッサー(1904年に亡くなってもウェッジウッドやアレッシィは今でも彼のデザインを使っています)も、日本に魅了されたと言われています。
ロンドンの有名なデパートの創業者アーサー・レイゼンビー・リバティーは、日本から輸入したアートと織物を売っていました。
そして、ドレッサーさんとリバティーさんは明治時代に日本に訪れています。
1970〜80年代で、日本ブームがまた来ます。
山本寛斎のデザインしたステージ衣装をデヴィッド・ボウイが着たんです。Yohji YamamotoとCOMME des GARCONSがパリでコレクションデビューした時くらいには、コシノミチコのMICHIKO LONDONがオープンしました。
2004年には、「クール・ブリタニア」の時代が終わりはじめてたけど、COMME des GARCONSの川久保さんがロンドンでDover Street Marketをオープン。ここでは日本だけではなく世界中のファッションを知ることができたんだけど、若い人が日本ファッションに興味を持つきっかけの場所でした。ちなみに、僕もそのひとりです!
イギリスのストリートファッション界では、日本のブランドはいつでもカルト的な人気があります。やっぱり他のヨーロッパの国やアメリカのブランドの方が安いんだけど、クールな人はずっと日本ファッション推しです。
少し前の話ですけど、僕の友だちは日本にやって来て、スーツケースに洋服を詰め込んで帰っていたし、違う友だちはヤフオク!で買った洋服をイギリスに送ってくれる人を雇っていました。イギリスに住んでいる友だちの好きなブランドの洋服を僕が買ってあげるなんてこともよくありました。
「クール・ジャパニア」時代の幕開け
2016年には、アルファ・シャドウズというブティックがロンドンのペッカムでオープンしました。ここはロンドン中で話題になりそうな日本の洋服を売っているんです。
(ペッカムについては、前の記事で紹介しましたよ)
アルファ・シャドウズはイギリスでは誰もが認めるブティック。それを真似しようと多くのお店が頑張っています。
日本ファッションはイギリスでも需要があります。可能性があるんです。
最近、日本のブランドは国内市場を意識しているけど、欧米でもっと人気が出ると思います。マイナーブランドはWEBサイトの翻訳をせずに、国際輸送にも対応していないけど、もったいないな〜。
2017年、BEAMSは「TOKYOJIN(東京人)」というポップアップストアをイギリスのデパート「ハーヴェイ・ニコルズ」で開催しました。ロンドンには新しいBEAMSのオフィスができたので、今後新しいストアがオープンするかもしれません。
nanamicaやF-LAGSTUF-F、NOMA t.d.もロンドンでポップアップストアを開いたし、NEPENTHESは店舗を構えたし、Snow Peak(イギリスでもアウトドアトレンドがあるよ)もオープン予定と言われています。
こうして歴史を振り返りながら今の日本について考えると、90年代の「クール・ブリタニア」よりも勢いがある、「クール・ジャパニア」時代なのかもしれませんね。