本格的なイタリアンと居酒屋メニューが共存。「(食)ましか」の気軽さと料理の質に梶原由景もナットク!

クリエイティブディレクター梶原由景の名を、食の情報から知る人は少なくありません。豊富な食体験と鋭い洞察力に裏打ちされた、SNSやブログの食レポを目にすれば、生唾を飲み込むのも一苦労。

そんな梶原氏がグルメ情報番組の企画・プロデュースにおいても手腕を発揮する『どやメシ紀行』(J:COMチャンネルで好評放送中)を知ってますか?

自ら“大人の悪ふざけ”と形容する同番組で紹介された関西の飲食店より、押さえておくべきオススメの店をピックアップ。独自の視点で語っていただきました。

第三回は「東京と大阪、飲み屋の差異」にフォーカスします。

梶原 由景

クリエイティブ・コンサルティングファーム「LOWERCASE」代表。異業種コラボの草分けとして様々な企業・ブランドとのプロジェクトに取り組む。2015年11月、藤原ヒロシと「Ring of Colour」を立ち上げ情報発信中。食にも精通するトップクリエイター。

大阪の飲み屋には
庶民のパワーと勢いを感じます。

──まずは、立ち飲みにフォーカスして伺います。東京にも立ち飲みのスタイルはありますが、大阪と比較するとどういったところに違いがありますか?

 

端的に言えば勢いの差でしょう。

大阪をはじめ関西では若い子でも気軽に飲食を始められます。だから次々新しい店が生まれる。

顕著なのが裏なんばです。賃料の問題はもちろんありますが、まずはやってみて、人気になると徐々にお金も回り始めて拡大していく。こういう勢いは東京よりはるかに上。

大阪には安くてうまいものが多いとは思いませんが、東京にはない飲食業全体の勢いを感じます。大阪で起こってる立ち飲みが神戸に飛び火したり、カレーブームも京都へと派生したり。そうした食の震源地になり続けているのが大阪。

 

──東京の立ち飲みは勢いを感じない?

 

というよりもオジさんばかりが集まる店か、若い女性が集まるおしゃれな店。二極化が激しく、その中間がありません。みんなが軽い気持ちで集える立ち飲み、二軒目三軒目に顔を出せるような店が東京は本当に少ない。

大阪は客層も年齢層もバラバラ。おっちゃんが若い子のお酒をおごってあげるなんて、しょっちゅう見かけますよ。地域性でしょうね。

 

──つまりは、酒飲みカルチャーの違いなのでしょうか?

 

確実に言えるのは大阪人のほうが食に貪欲だってこと。庶民パワーも強い。

それから地理的条件もある。大阪はエリアが密集してますから。ハシゴするにもタクシーでどこでもスッとでしょ。東京の場合、渋谷で飲んでそこから下町に移動しようとなっても、タクシーだとそれなりに距離がある。かといって地下鉄に乗れば興ざめするし。

 

──ちょうどいい距離感って重要ですね。

 

ホッピングできるような距離にいい店がないから、京成立石のような飲み歩きできる街に若い子たちが注目したんだと思います。

 

──東京で居酒屋の路上(はみ出し)営業に行政が柵を設置し対策した。というのがニュースにもなりました。大阪にも似たようなケースはあると思うんです。

 

たとえば福岡だって、本当は観光資源としていちばん価値があるはずの屋台が最近おかしなことになっています。杓子定規なことをやってしまうとパワーが失われていきますよね。

その点、大阪はいろんな要素があって杓子定規できないところがあるんだと思います。だからよそと比べて勢いがあるんだろうな。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。