デ・ニーロの新作が映画館で観れない……

マーティン・スコセッシ監督、ロバート・デ・ニーロとアル・パチーノ、ついでにジョー・ペシまでも出演する第二次大戦後のアメリカ裏社会を描いた作品――と聞けば、食指が動く映画ファンは多いはずだ。

けれど、この大作映画『アイリッシュマン』を国内のスクリーンで観ることはもう諦めるしかない。日本では11月5日に「TOHOシネマズ 六本木ヒルズ」で3回上映されるのみ。チケットは当然のように売り切れている(予約でGETできた人が羨ましい!)。ただし、PCやスマホで視聴することは可能だ。11月27日からNetflixで世界同時配信が決定している。

この背景にあるのは、Netflixと映画館の戦いだ。

新しいコンテンツをいち早く配信して加入者を獲得したいNetflixとストリーミングサービスより先に劇場公開したい映画館は利害関係で対立している。くわえて、映画業界のなかにはNetflix発の映画をオスカーをはじめとする映画賞のノミネート対象外にすべきと考える人も多い。Netflixとしては映画館での上映を無視して、いち早くコンテンツを配信することは、賞レースに参加できないという事態になりかねない。

そんな中、落とし所となっているのが、映画館での先行上映である。

Netflixは2018年には4作品を配信前に映画館で上映した。そして、2019年には10作品を先行上映することを発表している(一部作品はすでに上映も終了し、配信サービスで視聴可能となっている)。前述の『アイリッシュマン』もそのひとつだ。

つまり、アメリカではNetflix製作映画を配信より約1ヵ月早くスクリーンで鑑賞することができる。ところが日本ではそうはいかない。『アイリッシュマン』のような多くの映画ファンの興味をひくような作品でも、映画館での上映はスポット的な扱いとなってしまうこともある。

Netflixと映画館(というか、映画業界全体)の対立は、アメリカのメディアではここ数年大きな話題のひとつとなっている。だけど、この対立でもっとも影響を受けているのは、じつは日本の映画ファンかもしれない。いずれにせよ、Netflixのオリジナル映画の今後に注目だ。

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TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。