NYでルームメイトが教えてくれた「HappyとJoyの違い」

以前、約1ヶ月の短い期間だけど、厳格な宗派のキリスト教徒とルームメイトとして過ごしたことがある。

とても快活でオシャレで清々しい男だった。早朝から深夜まで働き、時間があれば神に祈る。日曜と水曜には、シワひとつないパリッとしたスーツに身を包み教会へと足を運ぶ。お酒は飲まず、もちろんドラッグもやらない。彼には12歳の時に教会で出合ったという幼馴染の婚約者がいるが、結婚するまでセックスもしないそうだ。何年もかけて彼の宗派が推奨する結婚のためのレッスンを受けて、結婚への準備をしていた。そして、なによりも心優しい、ルームメイトとしては最高の男だった。

オランダ出身の黒人である彼は、アフリカからオランダに移住した両親に負担をかけまいと、大学進学をやめたという。そして、世界的に有名なファッションブランドのオーナーに見初められて、グローバルディレクターとして世界中を飛び回る仕事をしている。まだ24歳だった。

一緒に暮らしていた間、深夜に彼が帰宅すると、俺は音楽制作の手をとめて、いろんな話をした。それぞれの人生のバックグラウンドについて話し、文化の違いから、やがて自然に宗教観について話し合うことになった。

ユダヤ教、キリスト教、イスラム教のはじまりや聖書の話をたくさん聞いた。NYに来るまで、宗教を人生の軸として生活する人に会ったことがなかった俺にとって、それまで宗教はなにやらアヤシゲなイメージがあって、実際にどういうものなのかを知る機会もなかったので、たくさん話を聞いた。

彼の話のなかで、もっとも印象に残っているのが、幸せについての話だ。要約すると、俺が(きっと多くの人が)使っている「幸せ」という言葉には、少なくともふたつの意味が混在しているという。

「Happy」
外部環境が満たされて得られる「幸せ」 

「Joy」
自らの内面から湧き出る「ヨロコビ」が満たされた状態の「幸せ」

外的要因による安心感/満足感のHappyと、自らの心から湧き出るワクワクや平静を得られてる状態のJoy。正直目からウロコだった。

俺は、それまでいつもHappyばかりを気にしていた。外部環境を良くすることばかりに気を取られ、自分の本当の喜びを圧し殺して、ストレスを溜め込んでいた。そうして、期待や理想や目標に現実がついていかないことに対して、自分自身や周囲の状況にどうしようもない焦りや苛立ちを抱えていた。そして、自信を失っていた。

でも、彼との会話でそのことに気づくことができた。自分の内面のJoyに目を向けるようになった。不思議なことに、そうすると自然に外部環境までよくなっていった。

Joyが、Happyを連れてきてくれた。

俺にとってのJOYは、家族を愛すること、音楽を愛すること、日常にクリエイティブなマインドを持ち、アートを感じたり、インスピレーションを受けること。そしてそれをアウトプットすることだ。

彼との同居は、たった1ヶ月だったけれど、俺の人生の中でとても重要な時間になった。宗教というものへのイメージも変わって、人々が心の拠り所とする、教えや信心というものに大きな意味や役割があることがわかったように思う。

日々は学びの連続だ。

大人になろうが、学校に行ってなかろうが、社会に出て働いていようが、自分の好きな道を自由気ままに生きようが、自分を超える存在への思いやり、他者への理解を忘れずに、日々学ぶ姿勢とチャレンジする気持ちが大切だ。

DAG FORCE/Rapper

1985年生まれ。NYブルックリン在住のラッパー。一児の父。飛騨高山出身身長178cm。趣味は、音楽、旅、食べること、森林浴。 NY音楽生活の中で気付いた日々是ポジティブなメッセージを伝えていきたい。

Top image: © DAG FORCE
「ポジティブなメッセージを伝えていきたい」NYブルックリン在住のラッパー、DAG FORCEの連載。
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