世界で「もっとも有名な図書館」の物語
2019年はどんな年だったのか?
きたる2020年は、どんな年になっていくのか?
“記録映画”ともいわれるドキュメンタリー映画に、時代を見ていくのはどうでしょう。2019年に公開され「なんらかの爪あとを残した」ドキュメンタリー作品を5つ、アップリンク(渋谷・吉祥寺)の石井雅之さんにピックアップしていただきました。
今回は2作目。「民主主義」という言葉が叫ばれて久しいけれど、それは本来どんなものであるべきなんだろう? わたしたちの暮らしやすい生活に、今足りていないものはなんだろう?
すこし立ち止まって、考えを深めていきたくなるドキュメンタリー映画です。
アップリンク渋谷・吉祥寺にて、劇場企画・構成を担当。上映作品ラインナップをセレクトするにあたってもっとも意識しているのは「多様性」があるか。遊園地のアトラクションのようにいろんな作品を上映して、お客さんと映画の “思いがけない出会い” の機会をつくる。
https://www.uplink.co.jp/
『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』
「世界でもっとも有名な図書館のひとつであるニューヨーク公共図書館。そこで働く職員たちの姿を追ったドキュメンタリーです。なぜここまでの図書館になったのか、その理由が見えてくる一方で、じつは『民主主義はどうあるべきか?』という問いを強く提示している作品なんです。
本来図書館って行政が運営するものですが、
「 “公共” 図書館と名乗られているとおり、誰でも入れるパブリックなスペース。では市民がそこに求めているもの・ことは何か? 職員たちは日々議論を重ねます。寄付金があってこその場所だから、市民の生活にしっかりと寄り添い、彼らにたいして様々な提示をしつづけなければなりません。
美術品の展示をするなど美術館的な要素も持ちながら、低所得者やインターネットをつかえない人たちに向けた教室をひらいたりと、カルチャーセンター的な役割も持つ。もちろん入場や利用料は、原則無料。ただ本を貸してくれるだけではなく『あそこに行けばいろんなことを知れる』というカルチャースポットとしてこの図書館は成り立っています」
「図書館は市民にとってどうあるべきか?市民の寄付金の使い方を考え抜いて、還元していく。そういう意味で民主主義のあるべき姿がこの映画には詰まっていると思います。
“図書館のドキュメンタリー”とだけ聞くと地味な気がするんですけど、この作品、大ヒットしたんですよ。作品に込められているメッセージをしっかり感じとった人が多かったから、たくさんのお客さんの動員につながったのかなと思いました。民主主義の未来を『図書館』という視点から考えさせてくれるという意味で、社会に爪あとを残してくれた1本です」
『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』
アップリンクで観られます!
「見逃した映画特集 2019」概要
2019年の話題作90作品をまとめて上映!期間:2019年12月27日〜2020年1月23日
会場:アップリンク渋谷・アップリンク吉祥寺
各作品の上映スケジュール、上映会場は下記をご確認ください。 https://www.uplink.co.jp/news/2019/53372