「金属ゴミから新しいモノを作っていたのが原点」FREITAG創業者にインタビュー【過去編】

ブランドのアイデンティティを語れる人に、“彼の過去”と“僕たちの未来”を教えてもらう「MY PAST OUR FUTURE」。

第1回目のインタビュー相手は、スイスのバッグブランド「FREITAG」の創業者、マーカス・フライターグ。

アップサイクルのパイオニア
「FREITAG」

「FREITAG」といえば、1993年の創業当時からトラックの幌を再利用し、世界にひとつだけのバッグを製造しているアップサイクルのパイオニアだ。

日本でも知名度はどんどん上がっていて、2019年12月20日には国内4店舗目となる直営店を京都にオープンさせている。

そんな「FREITAG」を生み出したマーカスが振り返る過去の自分とは? トラックの幌を再利用することにした理由とは?

まずは動画から観てほしい。

──過去を振り返って、自分がどんな子どもだったと思いますか?

 

こだわりが強かったですね。言い方を変えれば、めんどうくさい子どもだったかもしれません(笑)。

 

──例えば、どんなことを?

 

子どもの頃は、まあ、今もなんだけど、環境汚染を少しでも食い止められないか?と考えていたから、(FREITAGのもうひとりの創業者である)弟のダニエルと一緒に両親を説得して、新しい車を買うのをやめさせたことがあるんです。だから、僕の家族は車を持っていませんでした。

ちなみに、最近ニュースを見ていて、グレタ・トゥーンベリと同じことをよく言っていたな〜と思っています(笑)。

 

──当時、ハマっていたことは?

 

たぶん、ゴミ集めですね。

僕の国、スイスでは月に1回、金属ゴミを道路に出すんだけど、それを拾っていました。で、家の作業場に持ち帰って、全く別の新しいモノを作っていたんです。

ダニエルは、ボタンを押すと口の中にキャンディを飛ばしてくれる“キャンディカタパルト”を作りたいと言っていた時期もありました。その時は、よくふたりで早起きをして、必要な素材を集めるために、ひたすら路上のゴミをチェックしていましたよ。

話していて改めて気づいたんですが、かなり変わったことをやっていましたね(笑)。

©2020 NEW STANDARD

──“キャンディカタパルト”は完成させられました?

 

あれ? どうなったんだっけ……。ごめん、覚えていないかも。

というのも、僕たちには似たようなアイデアがたくさんあったから、何が成功して失敗したのかはあまり記憶にないんだよね。

確実に覚えているのは、水曜日の夕方がとにかく楽しかったこと。午後、授業がなかったから作業場でアイデアを考えて、それをカタチにすることをずーっとやっていたんです。他の曜日は「早く授業が終わらないかな?」と思っていました。

 

──とはいえ、サボることはしなかったんですね。

 

ですね。

環境問題を気にかけるようになったのも授業を受けていたからだと思います。あまり想像はできないかもしれませんが、僕が15〜16歳の頃、スイスの環境汚染は深刻だったんですよ。

あと、家族もいい刺激を与えてくれました。環境意識が高かったから、車を持たない生活にも納得してくれたんでしょうね。

こうやって振り返ると、サステイナブルなライフスタイルを実践しようと思ったのは、学校と家庭環境にあったのかもしれません。

──子どもの頃のお話を聞いていて、今のFREITAGと同じようなことをやっているなと思いました。

 

ダニエルとゴミを集めて新しいモノを作っていたことは、FREITAGのあり方に通ずるものがありますね。

“ダニエルと一緒に”というのも、じつはポイントです。

僕がアイデアを思いつくきっかけは、いつも街で何か問題に直面した時なんです。どうやって解決したらいいのか?と考えていると、自然にやりたいことが思い浮かぶ。だけど、それと同じくらい、一緒に悩んで解決策を生み出してくれるパートナーが必要だとも思っています。

ひとりで何かをやるのは好きじゃない。チームで前に進むことが好きなんです。

 

──なるほど。

 

FREITAGのバッグが生まれたのも、そんな環境でした。

1993年、僕は空間デザイナー、ダニエルはグラフィックデザイナーで、防水バッグが欲しいなと思っていたんです。MacBookなんてなく、たくさん紙の書類を持ち歩いていたので。

便利な検索エンジンもなく、得られる情報が少なく、防水素材だけを取り寄せるということもできませんでした。

そんな問題に直面していた時に、住んでいた場所が高速道路の隣だったこともあり、たまたまトラックの幌が目に入ったんです。で、ダニエルと一緒に「あれでバッグを作ろう」ということになりました。

ゴミから新しいモノを作ったこと、街で問題を発見したこと、チームワークだったこと──。今も昔も、やっていることに変わりはありません。

©2020 NEW STANDARD

──逆に、変わったなと思うことは?

 

僕とダニエルの性格、FREITAGのあり方はそのままですが、今は人数が増えました。約200人が関わり、サプライヤーも含めれば、もっとたくさんの人が協力してくれています。

例えば、トラックの幌を見つける人がいたり、調達チームとやりとりをする担当がいたり、新規事業を開発するチームだってあります。僕とダニエルがふたりで始めた頃に比べたら、今のFREITAGは全く違う次元にいるし、かなり成長したんですよね。

これが一番大きく変わったことかもしれません。

──成長したFREITAGは、どんなブランドだと思っていますか?

 

まず、メッセージ性がある。僕たちがトラックの幌を使っているというのは、すでに欧米とアジアでは有名になっているので、アップサイクル製品としての認知度は高いと思っています。

耐久性もありますね。そのおかげで、消費者の方に長く使えると分かってもらえているし、いくつものバッグを持つことに対して、間接的に疑問を投げかけることもできています。

バッグは人間にも似ています。FREITAGが製造するアイテムに全く同じものはなく、人間関係と同じように、相性の合うバッグを見つけられれば、ずっと一緒に生活をすることができます。でも、古くなってしまったなと思うこともあるはずので、最近、「S.W.A.P.(Shopping Without Any Payment)」という消費者同士のアイテム交換を促すプラットフォームをつくりました。

©2020 NEW STANDARD

──自分で聞いた質問なのですが、ここまで自信を持って、はっきりと答えてくれることを想定していませんでした。

 

今の話、過大評価も過小評価もしていないと思います。なんせ僕はFREITAGを一番知っている人間ですからね。

消費者の方は違うブランドを選ぶことだって、できるはず。それでも僕たちから購入してくれるのは、FREITAGが本気で資源や環境問題を気にかけているからだと思います。それがちゃんと伝わっているんですよ。

「環境のために何かしたいな。できることはないかな?」と考えた時に、僕たちが選択肢のひとつになっている。だから、FREITAGのバッグは、サステイナビリティを実現しようとしている人が持つマインドセットの象徴になっているとも言えるでしょう。

あと、FREITAGは他のブランドや業界の人々に環境を気にかけてもらえるように、いいインスピレーションを与えられていると思います。

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