「環境に優しい都市は縦に伸びていく」FREITAG創業者にインタビュー【未来編】

ブランドのアイデンティティを語れる人に、“彼の過去”と“僕たちの未来”を教えてもらう「MY PAST OUR FUTURE」。

第1回目のインタビュー相手は、サステイナビリティを徹底的に追求するブランド「FREITAG」の創業者、マーカス・フライターグ。

なにかと話題になる
「2050年までの目標」

最近、「2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにします」なんて宣言をよく耳にするようになっている。

だけど、その2050年に、僕たちはどのような生活を送っているのだろう? 遠い未来のように感じてしまって、具体的な社会のあり方や暮らしはなかなかみえてこない……。

「FREITAG」は25年以上も前からアップサイクルにこだわり続け、時代を先取りしていたことで知られている。今、マーカスが解決するべきだと考える社会問題を聞くことによって、未来への距離感がグッと近くなるのではないか?

まずは動画から観てほしい。

──テーマは「2050年の未来」ですが、マーカスさんが今一番解決しなければいけないと思う社会問題はなんですか?

 

う〜ん、環境汚染につながっている交通手段は変えるべきだと思います。もしも僕が新しい都市をデザインできるなら、一般車両は進入禁止にしますよ。

とはいえ、いきなり車をゼロにするのなんてムリだから、シェアリングサービスを充実させることに力を入れるべきでしょうね。

京都に来る前に東京に滞在していて、3日間、僕は自転車で移動をしていました。そこで、他の都市に比べてタクシーが多いのでは?と思ったんです。詳しく調べていないので、言い切ることはできませんが。

車のシェアリングサービスとなったら「Uber」や「Lyft」を思い浮かべるかもしれません。でも、たくさんの人がひとつの車に乗るという意味では、普通のタクシーも同じなんですよね。

 

──たしかに。

 

見方を変えれば、タクシーと公共交通機関以外でも、銭湯や温泉はシェアリングサービスのひとつです。その充実性を考えると、東京……というより日本は、時代を先取りしている部分があります。

あと、新幹線はとても素晴らしい。

飛行機が環境に悪いと言われ始めているのは、もう多くの人が知っているはずです。でも、それ以外の手段が少ないのも事実。都市間を移動する時の交通手段はアップデートするべきで、僕は新幹線のような電車がピッタリだと思っている。ポテンシャルはかなりありますよ。

もちろん、ヨーロッパの一部ではすでに開発されているんですが、もっと、海を越えられるようになってほしい。スイスから日本まででも、気軽に旅行ができるようにね。

©2020 NEW STANDARD

──交通手段を変える上で大切になるのは?

 

テクノロジーは、その答えのひとつです。

誰でもそれなりの動画を撮れて、自由に「Skype」や「FaceTime」も使える。だから、頻繁に車や飛行機に乗らないでも、会ったような感覚を得られます。

おかげで、今考えると無駄だったなと思う出張をする必要がなくなりました。そういう意味では、使われるはずだった資源が不必要になっていますよね。

今、飛行機を使わないのは非現実的なので、新たな交通手段が開発されるまでの“つなぎ”にはなる、といったニュアンスです。

でも、テクノロジーがもっと発達していくことで、より早く移動できて、よりサステイナブルな交通手段が生まれると思っています。

──マーカスさんが考える理想的な未来では、やっぱり、僕たちはサステイナブルな生活を送っています?

 

まあ、地球や環境を気にかけないと、僕たちは生きていけないですからね(笑)。

周りの人には「サステイナブルな生活を送るのは意外と簡単だよ」と、今もよく言っています。

僕はスイスでは水力発電による電気を購入するようにしている。自分で一部の野菜は栽培している。車は持っていない。洋服も必要な分だけしか買わない。

他にもやっている取り組みはあるけど、その中に特別なことなんてなく、あくまでも普通のことをやっているんです。

 

──でも、多くの人はその普通のことを何十年もやり続けている姿をみて、「スゴい」と感じるんだと思います。

 

そうかな? ありがとう。

とはいえ、サステイナビリティにはいろいろな定義があって、僕のなかには3つの軸があります。

ひとつ目は生態的なサステイナビリティで、自然や動物を気にかけたりすること。僕がプライベートでやっていることはこれに当てはまって、誰でも気軽に取り組めるんです。そういう意味で「サステイナブルな生活を送るのは意外と簡単」と言っています。

次は、経済的な側面を重視したもの。これは地球や社会のことを考えた上で企業のあるべき姿、ビジネスモデルを追求するようなカタチですね。

最後は、僕たちFREITAGが一番気にかけている社会的な要素。資源や環境を大切にして、プロダクト製造をおこない、労働環境なども考えるというものです。

生態的、経済的、社会的な視点で全てを考えられた時こそが、本当の意味でのサステイナビリティを追求していることになります。

©2020 NEW STANDARD

──2050年は、その全てを実現できた社会になっているのでしょうか?

 

今説明した3つの軸で考えてみると、一部を満たしているサステイナブルなブランドは、もう存在するんです。でも、やるべきことはたくさんあります。

そんな時に、僕はFREITAGというブランドが、多くのブランドや人々のマインドセットを変えられる力を持っていると思います。

 

──なるほど。

 

もっと視野を広げると、東京のような狭い土地でも全てがうまく機能している都市が増えてほしいと考えています。

僕の夢と少し違うのは、縦に伸びていくかどうかという点。横に広がっていく構造なら、今ある自然を破壊する必要が出てくるかもしれません。でも、すでに開発されている土地があるなら、縦に伸びる分には環境破壊につながる可能性が低くなります。農場や工場も、同じように高層建築になるべきです。

そうすれば、人の物理的な移動距離はどんどん短くなっていくし、都市の周りには自然を増やすことができる。

2050年という話だけど、それよりも早く、僕が思い描いている未来が来てほしいと思っていますよ。

決して簡単ではないけど……僕は未来を信じています。

なぜマーカスから
「FREITAG」が生まれたのか?

「2050年の未来」について教えてくれたマーカスは、どのような環境で育ったのだろう? なぜ「FREITAG」が生まれたのだろう? 過去編を読むことで、その答えが分かるはずだ。

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