約20年ぶりにやってきた「マイブーム」
昔、知らない国の知らない人と、覚えたての高校生レベルの英語でチャットしてたあの頃の、ただただ知らない人とつながった喜び!
それが俺にとって最初のインターネット体験だった。
だけど、時が経って、オンラインが当たり前の生活になると、人とつながることに喜びなんて薄れてきた。SNSも基本的に苦手っていうか、興味ねえーとか思ってた。24時間いつでもどこでも連絡がくるし、それも名前もサムネイルもチンプンカンプンな人からもくる。なんか面倒くせえなと思ってた。
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今、俺はニューヨーク州の片田舎に疎開してる。ここは携帯の電波も入らない場所で、インターネット回線がなくては外界とコンタクトが取れない。ここでの日々は、今から20年近く前、地元飛騨高山にいた高校生の頃をなんとなく思い出す。インターネットを使い始めた頃だ。
ついさっきも15年ぐらい会っていなかった友人からFacebookで連絡が来て少しビデオ通話をした。懐かしいクラスメイトの近況とか話したりして、それこそ不要不急なコミュニケーションなんだが、少し気持ちがほぐれる。
「音楽は一番ストレートにメッセージを届けられるし、素晴らしいよ!」「DAG FORCEを地元の友人が知ってて、誇りに思うよ!応援してるから頑張って!」と背中を押してくれたり、「私もいつか、自分のミュージカルをつくる!」と夢を語ってくれたり。たった数分の電話だったけど、恵方巻き並みにぎっしり詰まった気持ちが交換できて、なんだか、懐かしいなこの感じ、と思った。
今、不自由なこともたくさんあるけど、こうして忘れかけた何かを思い出したりすることもある。怪我の功名っていうか。以前は面倒くさかったSNSにも興味が湧いてきた。
久しぶりにあの人にも連絡してみようかな、なんとなく。
1985年生まれ。NYブルックリン在住のラッパー。一児の父。飛騨高山出身。趣味は、音楽、旅、食べること、森林浴。NYでの日常生活で感じたこと。そこからポジティブなメッセージを伝えていきたい。