自粛期間を「アメリカの若者」はどう過ごしていた?

Lindsay Arakawa(荒川リンジー)

ハワイ出身の荒川リンジーです。以前はNYCに住んでRefinery29でSNSストラテジストとして働いてました。現在は東京に住み、SNSストラテジストとして働き、またアーティストとして創作活動をしています。犬が大好き。最近覚えた日本語は『ほんやくこんにゃく』。Instagram:@blindsaay

自粛期間中、一日を家で過ごしていると、コーヒーを飲むかワインを飲むかで時間を判断している感覚に陥った。

私はフリーランス。新しいプロジェクトはほとんど入ってこなかった。読書をしたり、『どうぶつの森』で遊んだり、メールチェックをして過ごしていた。

東京の自宅にいながらにして確実に世界が変化し続けている中、アメリカの友人の生活が気になり質問してみた。

(※このインタビューは、現在アメリカ全土で起こっている抗議活動の前に行われたもの)

Los Angeles

名前:Ashley Lukashevsky
年齢:27
職業:イラストレーター/ビジュアルアーティスト

 

——隔離前と今の生活とを比較して何が変わりましたか?

 

正直、あまり変わりません。自宅で仕事をすることには慣れていますが、今は本当に外に出ないようにしています。昼寝をしたり、すぐ近くを散歩したり、日向ぼっこをしたり。自分の体をケアするために、より多く休憩を取るようにはなりましたね。

目が覚めたら、瞑想をしてコーヒーを飲んでから仕事をするようにしています。アートスタジオにはまったく行っていませんが、近々行こうと思っています。

そうそう、一番恋しいのはヨガのクラスです。近所の素晴らしいスタジオに通っていて、そこに行くのが毎日の楽しみでした。でも今は……運動する気力がなくなってしまっています。気が向いたときだけZoomにログインして、お気に入りの先生のクラスを受講するだけ。

不思議なことに、仕事の忙しさはあまり変わっていません。パンデミックの中で締切を守るのは大変で、最近は締切の延長をお願いすることが多いのですが、理解してもらえますね。

©ashlukadraws

——あなたが住んでいる街の雰囲気はどうでしたか?

 

LAはまだ完全にソーシャルディスタンスが保たれて遮断されています。少なくとも近所のエコー・パークでは。ゆったりとした空気が流れていて、近所の人に手を振って挨拶するのは気持ちがいい。マスクのせいで、彼らに微笑んでいることを伝えられないのではないかと心配していますが。

 

——自粛期間中に、何か新しく始めたことはありますか?

 

日向ぼっこかな……(笑)、絵の具や色鉛筆などで絵を描いています。PCやスマートフォンだけで作業することはできるだけ避けるよう意識していますね。

©ashlukadraws

——友人や家族とはどのように連絡を取っていますか?

 

FaceTimeで連絡を取り合い、エアハグをしています。

 

——最近、何が一番大切だと感じていますか?モノゴトの優先順位は変わってきていますか?

 

メンタルヘルスのケアが一番大事だと思っています。今は誰もが荒れていますし……。うつ病と不安を抱えて生きている者として、自分自身に優しくすることが大切だと思います。

このような生活は普通ではありませんし、おそらくすぐに普通の生活に戻ることはないでしょう。多くの場所では、安全を確保するために新しいルールが設けられるでしょうし、いつコンサートが再開されるかは誰にもわかりません。

 

—— あなたはどのような変化を予想していますか?

 

人通りの多いイベントや賑やかなレストランに行けるようになるまでは、かなりの時間がかかると思います。正直、それらの外出がどのようなものになるのか、想像できていません。

パンデミックにまつわる痛みや苦しみを抱えながらも、地球を大切にすることができればいいなと思います。パンデミックを悪化させている、弱小なケアシステムに目を向けることはとても重要です。

私は、必要不可欠な労働者が正当に扱われるような世の中にしたい。脆弱な人々のための社会サービスが欲しいし、常にメンタルヘルスに焦点を当てたい。決して、今のためだけではなく。

New York

名前:Nadia Agsen
年齢:26
職業:プライベートシェフ

 

——隔離前と今の日常とを比較すると?

 

私は独立してシェフをしています。朝7時頃からクライアントのところへ行って料理を作り、13時頃には仕事を終える生活でした。たまにボーイフレンドとランチをして、チャイナタウンで好きな魚や野菜を買って帰るような。

メトロポリタン美術館の向かいで料理を作って、仕事を終えたあとに中をぶらぶら。すごく刺激的な生活でしたし、本当に恋しいですね。特に、クライアントがニューヨークを出てしまったので仕事がなくなりました。

今は、朝起きて、エスプレッソを淹れて、ワークアウトをしたり、美味しいスムージーを作ったりしています。本を読んだり、天気が良ければ屋根の上に出て日向ぼっこをしたり、愛犬を連れて散歩をしたりと、自由に過ごすことができています。

一日の終わりには、ボーイフレンドのために、頑張ってディナーを作っています。気分が落ち込んでいる日は、何か懐かしいものを作って元気を取り戻していますね。

©nadiagsen

——街の雰囲気はどうですか?

 

ブルックリン、特に私の近所のクリントンヒルでは、ほとんどの人がマスクをしています。6フィートのソーシャルディスタンスもちゃんと守っています。

たまに公園で子供と遊んでいる親がマスクをしていないことがありますが、周囲の人に対して失礼なことだと思います。マスクをしている人を見かけるということは、コロナについて真剣に考えている証拠。毎晩7時になると、みんなで救急隊員を応援する声が聞こえてきて嬉しく感じています。

 

——自粛期間中に、何か新しく始めたことはありますか?

 

特別なことはありません。カクテルを作るのが上手になったことぐらいかな……。レストランで注文していたお酒を自分で作るようにしています。

 

——友人や家族とは連絡を取っていますか?

 

以前からですが、家族とはほぼ毎日話しています。それ以外では、1日に1~2人の友人とFaceTimeをして、人と人とのつながりを忘れないようにしている。

©nadiagsen

——最近、何が一番大切だと感じていますか?モノゴトの優先順位は変わってきていますか?

 

優先順位は劇的に変化しました。仕事として毎日料理をしていた時は、ときどきジムのレッスンに行ったり自炊したりできるかなというくらいの忙しさ。今はとにかく、「走りたい!心拍数を上げたい!パスタも生地から作りたい!サラダすら毎回本気で作るぞ!」って。日常の些細なことが、とても大切になったんです。

さらにいうと、今の優先事項の一つは、自宅を充実させること。つまり、アパートを本当に自分の家のように感じさせ、見た目にもそう見えるようにすることです。今までは考えてもみなかったようなことを、アレンジしたり、追加したりするのはとても楽しいです。

このような生活は普通ではありませんし、おそらくすぐに元の生活に戻ることはないでしょう。

 

—— あなたはどのような変化を予想していますか?

 

この質問について考えると胸が痛くなります。コンサートは間違いなくすぐには難しいでしょうし、音楽を愛する者として非常に辛いです。人々が家で映画を見ることを好むようになって映画館がどんどん衰退していくかもしれません。遊園地やコンサート、演劇、映画、スポーツジムなど人が多いところにはあまり行かないと思います。

私はただ、自粛期間はみんなの「安全と健康のため」であることを受け入れて、小さな勝利についてもう一度考えようと思います。

Hawaii

名前:Ramsey Cheng
年齢:30
職業:建築製図家/フリーランス写真家

 

——隔離前と今の日常とを比較すると?

 

自粛期間前と比べると日常がぼんやりした感じがします。私は製図の仕事をしているので、クライアントと現場で空間を測ったり、コンピュータで図面を描いたりしていました。今は仕事がスロー。だから常に仕事以外に何ができるか、生産的な活動を考えようとしています。

とにかく、日常生活は激変しました。スケジュールはすべて変化したので、「普通」の生活に戻ったときに、どうやって適応できるのか、あるいはそれが可能なのか、正直心配しています。

今、私にとって運動は間違いなく大きな優先事項になっています。他にやることがないからというだけでなく、精神的にも良いからです。健康な体、健康な心。こんなご時世だからこそ、精神安定を保つためには何でもするし、そのためいろんなチャレンジをしています。

©ramseycheng

——街の雰囲気はどうですか?

 

自粛要請が来た当初は、いろんな意味で怖かったですね。ハワイは、完全にゴーストタウンになりました。普段のハワイでは、私たち住民や観光客は、アウトドアが大好きで、どこにでもいるような社交的な生活をしているから対照的だった。

正直に言うと、この隔離の間、半分は真剣にやっている人で、残りの半分はそうではない人です。最近、ビーチを開放して、同じ世帯であれば最大10人までのグループで日向ぼっこができるようになり、ソーシャルディスタンスの練習をしています。

 

——何か新しい趣味は始めましたか?

 

もちろんです。幸運にも自粛期間中も「屋外での運動」は許可されていました。だから、自転車が私の最大の趣味になりましたね。ほとんど毎日乗っています。

頭の中がスッキリするし、ソーシャルディスタンスを保てるアクティビティでもある。それ以外にも料理で新しいレシピを試したり、たくさん本を読んだり、音楽を聴いたりしています。

 

——友人や家族とはどのように連絡を取っていますか?

 

幸いなことに、今は兄と義理の姉と一緒に住んでいて、隣のお隣さんは私の父です。浮き沈みもありますが、一日の終わりには、この時期に家族と一緒にいられることに感謝しています。母や他の兄弟、友人とはビデオ通話か、挨拶程度です。

 

——最近、何が一番大切だと感じていますか?モノゴトの優先順位は変わってきていますか?

 

質の高い時間です。先日自粛期間中に初めて家族全員が集まって夕食をとりました。当たり前だと思っていた時間が懐かしく感じましたね。

今一番したいことは、家族や親しい友人と一緒に座って、一緒に美味しいものを食べること。ここ数ヶ月、サイクリングやハイキング、海に入ったりして自然と過ごす時間は、私に多くの気づきを与えてくれました。昔からアウトドアが大好きでしたが、今はそれしかないからか、アウトドアへの愛がとても大きくなりました。

このパンデミックの間、自然は私を救ってくれました。普通の生活に戻っても、仕事以外の時間を家族や友人と一緒に、そしてできるだけ外で過ごしたいと思っています。

©ramseycheng

——あなたはどのような変化を予想していますか?

 

これから先も、一日一日が勝負。この自粛期間中に、ポジティブになることをずっと意識してきました。パンデミックであろうとなかろうと、日々に苦労はつきものですが、今は特にポジティブで希望に満ちていることが一番頼りになります。

私の性格は大きな変化に対応できないので、常に変化し続ける新しい現実に備えて、自分の心を良い状態に保つために努力してきました。多くの点で、このパンデミックは私自身の感情や物事への対処法を理解するのに役立っています。私だけではありません。私たちは皆、一緒にいるのです。

日本では非常事態宣言が解除されましたが、個人的には規制を緩和するにはまだ早すぎると思っています。多くの保健当局は、第二、第三の波の危険性を警告していますし、すでにその影響を感じています。

ワクチンが登場するまで、私たちは慎重に生き続け、自分と周りの人の安全を優先しなければなりません。ここ数ヶ月間(おそらくそれ以上)、私たちが行ってきたこと、そして私たちがどのように意思決定を行ってきたか、そして今後も継続していくかは、すべてコロナの影響を受けることになります。だから、家にいて、安全でいて、これを真剣に受け止めて、一緒に乗り切るようにしましょう。

Top image: © Lindsy Arakawa
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。