イタリア議会、「偽ジェラート」を取り締まる
イタリアのアイスクリーム「ジェラート」が女優さながらに輝く映画といえば、1953年8月27日公開のラブストーリー『ローマの休日』。
2014年、「日本ジェラート協会」がこの日を「ジェラートの日」に制定してから、はや7年が経った。
そんな今年、映画の舞台となったイタリアでは、ジェラートをよりふわふわに見せるために注入する圧縮空気の量や、使用する材料を厳しく管理することが提案されている。声の主はなんと……「イタリア議会上院」だ。
というのも、ジェラートの年間売上高は約10億ユーロ(約1322億円)であり、イタリア経済にとって重要な分野であるにもかかわらず、低品質な“偽ジェラート”が市場を侵食しているから。
ジェラート製造業者に対して具体的に取り締まったのは、「オーバーラン」と呼ばれる空気含有量。
職人による伝統的なジェラート作りでは、口溶けをよくするために、こまめに、それも勢いよく混ぜることで30%ほどの空気を含ませている。
しかし、圧縮空気で人為的に膨らませた場合、ジェラートの80%が空気となることもあり、事実上、消費者はジェラートではなく空気にお金を払っていることになってしまう。
ジェラート職人と消費者の権利を守るために、空気含有量が30%を超えると判明した業者には、最高1万ユーロ(約132万円)の罰金が科せられることになった。
この法案を提案したRiccardo Nencini上院議員は、問題提起のきっかけについて、伊・全国紙『Il Messaggero』の取材にこう語っている。
「イタリアのアイスクリームは、パスタやピザと並んで、常にわが国の美食のシンボルの一つでした。しかし、わが国の法制度では、職人が作るジェラートも、職人自体の権利も認められておらず、保護されていません」
法案ではそのほかにも、人工着色料や人工香料、水素添加油脂ではなく、フレッシュな素材のみを使うことや、凍らせる時間などの加工段階についても取り決めている。
すべては“本物のジェラート”を守り抜くため。
今後ますます品質の向上が見込まれるおいしいジェラートを味わってみたいものだ。