「クジラ」の体長が小さくなったのは、人間のせいだった【研究結果】
学術雑誌「Current Biology」に掲載された新しい研究によると、今日生まれるクジラは1980年代の個体と比較して、体長がおよそ1mも短くなっていることがわかった。
筆頭著者のジョシュア・スチュワート氏によると、研究のきっかけは「1歳か2歳の子クジラに見えた個体を調べてみたところ、じつは5歳〜10歳の成体だった」という、驚くべき発見なのだとか。
それほどまでにクジラの体長に影響を与えたのは……人間の活動だった。
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今回の調査対象は、フロリダとカナダを行き来する、タイセイヨウセミクジラ129頭。総生息数は約366頭と、絶滅の危機に瀕している生き物だ。
研究の結果、彼らの成長や繁殖を阻害する主な原因は、体に絡まったロープや釣具だと発覚。満足に身動きがとれない状態に陥らせることで、致命的な感染症や飢餓、溺死を引き起こしていた。
が、こうした漁具だけが原因とも限らず、ボートとの接触や騒音、慢性的な食糧不足、さらには気候変動についても、クジラの体長縮小と何らかの因果関係があると示唆されている。
研究を主導した「米国海洋大気庁(NOAA)」では現在、ロープやブイを使わずに、海底の釣具位置を確認する方法を検証中。今こそ、テクノロジーの出番ではないだろうか。
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