「孤独死」はむしろ、若者が抱える問題だった。
寂しくて死ぬ動物=うさぎというイメージがあるけれど、何がキッカケだったのかは諸説あって、今もわかっていないらしい。実際のところは、縄張り意識が強い動物で、むしろ単独行動を好むため、ひとりが寂しくて死ぬということは考えられていないとか。動物たちの習性を紹介するPetHelpfulでも、寂しさが死に直結するとは、捉えられていないようだ。
なんてことを調べていたら、むしろこっちの話題に危機感を抱いてしまった。心理学、神経科学を専門とするJulianne Holt-Lunstad教授の研究によると、「寂しさが死に直結する」のは、われわれ人間のほうだって!?
人間は、「孤独」に命を奪われている。
Julianne教授は、「孤独」がどのくらい人間の命に影響を及ぼすかを総勢約400万人を対象に研究。その結果、わかったことはふたつ。
(1)人との繋がりが少なく、社会的孤立を感じている人は、50%以上早死にするリスクが高まる。
(2)1日15本以下のタバコを吸う喫煙者、肥満、大気汚染による身体的な負担よりも、人とコミュニケーションを取らずに生きることの方が、死亡リスクが高い。
北米、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアについては、さらにこんなことも。「寿命が長い、離婚率が高い、子供が少ない、都市での1人暮らしが多い傾向のある先進国は、他の国に比べて必然的にリスクが高まる」と。
若者の"孤独死"
あらためて<孤独死>という言葉について考えてみたい。一般的には、誰にも看取られることなく亡くなることだと解釈されている。ゆえに、老後のおじいちゃんおばあちゃんのイメージがあると思うけれど、「孤独によって命を落とすこと」と捉えた時にはどうだろう。
自殺大国という悪名を持つこの国。5月18日に厚生労働省が発表した、『自殺対策白書』では、15歳から39歳までの死因の第1位が「自殺」だった。若い世代の自殺者数がこれほど高いのは、先進国では日本だけ。自殺の可能性がある変死も含めれば、もっと数字は膨れ上がるのだと思う。
さらに、家に引きこもって人との関係を遮断している人の数を調べてみると、内閣府の調査で、約70万人にも及ぶということがわかった。15歳から39歳の間で50万人というデータもある。
孤独死の問題を抱えているのは老人よりむしろ、若者ではないだろうか?