【研究結果】「シロナガスクジラ」の生活は、船を避け続けるためにかなり窮屈らしい

おびただしい数の赤い点の往来と、そのなかで右往左往する青い影
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このデータは、チリ近郊のアンクド湾で餌にありつこうとする、とあるシロナガスクジラ1頭の1週間の動きを、「チリ国立水産養殖局(SERNAPESCA)」提供の養殖船団交通データと重ねて可視化したものだ。
 
驚くべきは、船舶が激しく行き来するこの交通データは、数あるなかで1船団だけを追ったものということ。
 
つまり、クジラが1日に避ける船の数は、実際にはもっと多い可能性があり、その窮屈さは計り知れないのだ。
 
論文において、「アウストラル・デ・チリ大学」を中心とするチリの研究機関は、絶滅危惧種のシロナガスクジラを救ううえで「優先分野の定義とリスク評価が不可欠である」と発表。
 
これまで、南アメリカにおける船舶とクジラの接触事故は、監視や資料が不十分という理由で、その事故数を正確に把握することは難しかった。
 
その点で、船舶との衝突リスクの高い地域を示したこの地図は、クジラが頻繁に訪れる海域を優先した保全戦略の策定に、大きく役立つだろう。
 
論文は「(今回発覚したエリアを軸に)養殖船を中心とした船舶交通を迂回させることは、海洋生物の生息地を保護するための重要な一歩となるはずだ」と、国際機関に対する力強い提言と共に締めくくられている。
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