「ECOALF」創設者からのメッセージ「地球の未来は、きっと......」【第3回】
前回の記事では、スペイン発、リサイクル素材や環境負荷の少ない材料のみでプロダクトを作り出すブランド「ECOALF(エコアルフ)」の創業者であるハビエル・ゴジェネチェ氏から「ブランド哲学」について語ってもらいました。
全3回の最終話となる今回は「これからの持続可能性とは何か?」について聞いていきたいと思います。
リサイクル素材や環境負荷の少ない材料を使用し、デザイン性の高いファッションプロダクトを展開するブランド「ECOALF(エコアルフ)」創業者。リサイクル素材を使うだけでなく、漁業協会や地域政府とも協力し、海中のプラスチックゴミを取り除きながら、それらを自社の製品に使うための素材に変換するなどブランドの存在を通して持続可能社会の発展に努める。イノベーションの分野でも注目されており「Thinking Heads」の選ぶ「Spain Top Speakers 100」にも選出されている。
──COVID-19は私たちの生活を大きく変えましたが、人々の消費の在り方や持続可能性についての考え方にどういった影響を与えたと思いますか?
COVID-19に関連したロックダウンは、人々に自分にとってもっとも重要なものは何か、そして、私たちの地球のもろさについて考える機会を与えたと思います。
私たちが屋内にいると、二酸化炭素の排出量が著しく減少し、地球が私たちの日常生活が与えるネガティブな影響から回復していることがわかりました。
多くの人が持続可能性をより重要視するようになり、あらゆる意思決定に持続可能性が必要であることを理解するきっかけとなったのではないでしょうか。
──つまり、これまでの大量生産、大量消費という生活の在り方を見直すきっかけになった、と。ちなみに、この数年でのブランドに変化は?
透明性とトレーサビリティーは、私たちにとって非常に重要であり、じつはこれまで不足していた部分でした。そこで、「Bcome」社の技術を導入し、バリューチェーン( 商品やサービスがユーザーの手に届くまでの一連の流れを“価値”と捉えるもの)全体を測定、追跡するようにしました。
これは、社内で毎シーズン、バリューチェーン全体を改善するのに役立ちますし、消費者には、どこでどのように服が作られているのか、また製造の過程で生まれる自然に対してのインパクト(水、エネルギー、CO2排出量)について共有することが出来ます。
私たちはサプライヤーと非常に密接な関係を築いています。材料の選定から製造のプロセスに至るまで、私たちと一緒に仕事をしています。
これからは、こうしたプロセスもユーザーや社会に共有できるようにしていく必要があるのです。
──透明性というのは非常に大切なテーマですね。では、ポストコロナ時代におけるサステイナビリティの将来像をどのように描いていますか?
未来のサステイナビリティは、社会的、経済的、環境的という3つの柱を中心に、将来の世代のニーズを損なうことなく、我々の現在のニーズに対応するものになっていくでしょう。
そして、サステイナビリティという概念自体が一つのオプションではなく、社会のスタンダードになるべきものだと考えています。
──なるほど。それは最後に、未来、テクノロジー、持続可能性などについて、私たちはどういったことを意識するべきでしょうか?
次の世代のために、世界をよりよい状態にできるかどうかは、私たちの手にかかっています。
教育やテクノロジーに投資し、持続可能な生活様式を目指して努力すれば、何世代にもわたって続く未来を作ることができますし、私たちの唯一の星である地球を大切にしなければなりません。
理由は簡単です──Because There Is No Planet B.(なぜなら、地球に替えはきかないからです)
<取材後記>
ハビエル・ゴジェネチェ氏との会話を通して、エコや持続可能性というテーマは単なる流行りではなく、私たち一人一人の生き方や生活の在り方のことであることが伝わってきます。また、ただたんにエコな製品を販売、購入するだけではなく、ファッション業界全体の在り方も変えていく必要があることがみえてきました。「Because There Is No Planet B.」というブランドメッセージは、これからの持続可能性を考えるうえでシンプルかつ強力なメッセージかもしれません。