「ECOALF」創設者がインタビューで語った「ブランド哲学」とは?【第2回】
前回はスペイン発、リサイクル素材や環境負荷の少ない材料だけでプロダクトを生み出すブランド「ECOALF(エコアルフ)」の創業背景について、ブランドのCEOであるハビエル・ゴジェネチェ氏に共有してもらいました。
第2回となる今回のテーマは「ブランドの哲学とビジネス」について。
有名メゾンはもちろん、ファストファッションブランドまでもがエシカルでサステイナブルなモノ作りに乗り出した今、2009年の創設以来、エコロジカルなシーンをリードし続ける話題のブランドの“コア”に迫ります。
リサイクル素材や環境負荷の少ない材料を使用し、デザイン性の高いファッションプロダクトを展開するブランド「ECOALF(エコアルフ)」創業者。リサイクル素材を使うだけでなく、漁業協会や地域政府とも協力し、海中のプラスチックゴミを取り除きながら、それらを自社の製品に使うための素材に変換するなどブランドの存在を通して持続可能社会の発展に努める。イノベーションの分野でも注目されており「Thinking Heads」の選ぶ「Spain Top Speakers 100」にも選出されている。
──ECOALFはリサイクル素材や環境不可の少ない素材だけを使った非常にユニークなブランドですが、ユーザーに提供している価値とは?
ECOALFは、最高のノンリサイクル製品と同じデザインと品質をもった“新世代のリサイクル製品”を扱うブランドです。ただたんにリサイクル素材を使った製品を作るのではなく、品質やデザインを徹底的に追求し、持続可能なライフスタイルを実現する方法を消費者に提供したいと考えています。
──たしかに、持続可能なライフスタイルを包括的に提供しているブランドはまだまだ少ないですよね。では、ECOALFにとって「サステイナビリティ」とはなんですか?
サステイナビリティとは、長期的な視点に立って、今ある資源を最大限に活用することです。これは、すべての意思決定において考慮しなければなりません。
たんにリサイクル素材を使うだけではなく、エコデザインや素材を作るプロセス、原材料の製造についても考える必要があります。すべての選択が未来に影響を与えることを考えると、真の意味でのサステイナブルとは、その影響を最小限にとどめ、今後、何年にもわたって実行できるようにすることなのです。
──つまり、エコな素材を使った製品を作って売ればいいわけではない、と。「ECOALF FOUNDATION」という基金でおこなっていることについても教えてください。
ECOALF FOUNDATIONは、新しい科学技術の知識を開発、適用することで、廃棄物の選択的な回収を促進し、リサイクルしての価値を高め、環境への有害な影響を回避することを目的とした非営利団体です。
同基金は「アップサイクル・ザ・オーシャンズプロジェクト」を運営、展開しています。
このプロジェクトは、漁師の方々のご協力のもと、海の底をきれいにするという画期的な取り組みをおこなっています。
──ファッションブランドが基金を設立して環境問題に本気で取り組むというのは、シーンの未来、そして地球の未来を大きく左右すると思います。どのようにしてそんなイノベーションを促進しているのですか?
私たちにとって、イノベーションとサステイナビリティは切っても切り離せないものです。
ノベーションは、ファッション業界が直面している環境的、社会的課題の解決策を生み出すために必要不可欠なツールなのです。
私たちが提案するすべてのイノベーションは、デザインと結びついていなければなりません。そして、デザインは、ECOALFのブランドの価値観と結びついていなければなりません。
研究開発に積極的に投資し、もっとも持続可能で革新的な素材やプロセスを求めて実現するために、最先端の技術やテクノロジーを持つ工場やR&Dセンターと常に協力して動いています。
ECOALFの使命は、ファッションと地球、そして人々の健やかな未来が永遠に続くように、イノベーションを起こし続けることだと考えています。
<取材後記>
ファッションというと見た目の華やかさや格好よさといったイメージがありますが、彼の話を聞いていると、テクノロジー、イノベーション、地球環境など、現代の起業家にとって不可欠な発言や要素が際立っています。基金の設立やイノベーションへの積極的な投資など、明らかにほかのファッションブランドとは一線を画すECOALF。次回の記事では、彼が考える持続可能な未来について迫っていきたいと思います。