持続可能なファッションとは？スペインの至宝「Maria Lafuente」デザイナーインタビュー【第1回】

今でこそサステイナビリティという言葉は知られるようになり、名だたる大企業や有名ブランドが環境に配慮した製品を作るようになりました。

そんな傾向はファッション業界でも強まっており、若い世代を中心にサステイナビリティを意識したブランドが増えています。

じつはこうしたトレンドより遥かにまえからサステイナビリティの重要性を訴えていたファッションブランドがあることをご存知でしょうか？スペインの「Maria Lafuente（マリア・ラフエンテ）」というデザナイーズブランドです。

創業15周年を迎えるこのブランドは、ファッションウィークの常連でありながら、創業時からサステイナビリティの実現に取り組み、直近のコレクションでは廃タイヤから作られた生地を使っているほどです。

今回は、創業者にしてデザイナーであるマリア・ラフエンテさんへのインタビューを通して、クリエイティビティとサステイナビリティの未来を探りたいと思います。

──ブランドやファッションについて伺うまえに、ラフエンテさんの生い立ちについて教えてください。現在、ファッションデザイナーとして活躍されていますが、幼少期はどんな子どもでしたか？

私は子どものころから、とても落ち着きがなく、どこか夢見がちな性格でした。とても社交的な性格で、人と接することや時間を共有することが大好きでした。

10代の頃から自分が着ている服に違和感を感じないように、自分のアイデンティティを探し始め、ファッションの知識がなくても自分でデザインをするようになったことを覚えています。

その後、ファッションの勉強を始め、陶芸や絵画といったアートのほかの分野も勉強するようになりました。

──創造することがずっと好きだったんですね。当時はどういったところからインスピレーションを受けていましたか？

私の祖父は仕立屋でしたが、幼いころの私はそれがどんな仕事なのかを理解しておらず、直接的に影響を受けたとはいえないかもしれません。

一方で、映画、読書、そして芸術全般は、私の成長と学習方法のなかに常に存在しています。私にとって芸術は生活から切り離れたものではなく、人生そのものだったんです。

──創造は常に身近な存在だった、と。それでは、ファッションデザイナーを志すきっかけは？

私は小さいころから絵を描いていて、自分の夢の世界にいました。

思春期のころにはすでにデザイナーになりたいと思っていて、それが自分の目標であり、自分のブランドを作りたいと思っていました。

これこそが私を幸せにし、情熱を持たせてくれる職業であり、誰もがそのような機会や世界を見る方法を持っているわけではないと、ずっと考え続けてきました。

このような世界の見方......つまり、自分を幸せにしてくれることを仕事にし、同時に自分自身を成長させるという意識は、誰にでもあるものではありません。

ファッションデザインとは、私にとって人生そのものですね。

──そうして立ち上げたご自身のブランドにとって“大切なこと”はなんでしょうか？

私のブランドのミッションは、サステイナビリティ、アート、イノベーション、クラフツマンシップ、ヒューマンバリューです。

一見、ファッションと関係なさそうなミッションですが、それは私にとってファッションはアーティスティックなもので、自分自身の哲学や生き方を表現するものだからです。

とくにサステイナビリティは、これからのファッション業界全体にとって非常に重要なものになります。

【取材後記】

マリア・ラフエンテの第一印象は、創造力と情熱に満ち溢れている人でした。幼いころは誰もが好奇心と創造力に溢れているものですが、多くの人は大人になるにつれてそういった情熱を失ってしまうものです。マリア・ラフエンテさんの話を聞いていると、クリエイティビティを最大限に発揮する鍵はそうした好奇心と情熱を失わずに表現し続けることなのかもしれないと感じました。