「ECOALF」創設者が語る「ファッション業界の罪」【第1回】

サステイナビリティが時代のキーワードとして世界中でフィーチャーされるなか、そのデザイン性の高さはもちろん、製品のすべてをリサイクル素材や環境負荷の少ない材料から生み出しているスペイン発のブランドが話題となっています。

「ECOALF(エコアルフ)」。

日本国内でも渋谷や二子玉川といった高感度なエリアに店舗を構える同ブランドが想う、ファッション、デザイン、そしてサステイナブルな未来とは......?「エコアルフ」の創業者であるハビエル・ゴジェネチェ氏に現地・スペインにて独占インタビュー。

ハビエル・ゴジェネチェ/Javier Goyeneche

リサイクル素材や環境負荷の少ない材料を使用し、デザイン性の高いファッションプロダクトを展開するブランド「ECOALF(エコアルフ)」創業者。リサイクル素材を使うだけでなく、漁業協会や地域政府とも協力し、海中のプラスチックゴミを取り除きながら、それらを自社の製品に使うための素材に変換するなどブランドの存在を通して持続可能社会の発展に努める。イノベーションの分野でも注目されており「Thinking Heads」の選ぶ「Spain Top Speakers 100」にも選出されている。

──本日は貴重な機会をありがとうございます。まずは、ゴジェネチェさんのことを少し教えてください。「ECOALF」を立ち上げる以前は、どのようなお仕事をされていましたか?

 

ECOALFのまえは、モダンなハンドバッグ、スーツケース、アクセサリーを専門とするアクセサリー会社を経営していました。10年間で350の販売拠点と70のブランド小売店を持つまでに成長させることができました。 

 

──すでにファッション業界で成功された経験をお持ちだったんですね。では、なぜ、そこから新たなブランドを?

 

2人の息子、アルフレドとアルバロが生まれたあと、本当に持続可能なファッションブランドを作りたいと思いました。

また、ECOALFを始める以前の会社で“ファッション業界が環境に与えるインパクト”を目撃していました。

そうした背景もあり、もっとも持続可能なことは、次の世代のために天然資源を無造作に使うのをやめることだと感じからです。

ECOALF/エコアルフの商品
©Ecoalf

──たしかに、ファッション業界は、環境にもっとも大きな影響を与えているものの一つともいわれています。ECOALFの使命とはなんでしょうか?

 

 「エコ」は「環境に害を与えない」という意味。そして「アルフ」は私の2人の息子の名前(アルバロとアルフレド)の頭文字を表しています。

私たちの使命は、最高のノンリサイクル製品と同じ品質とデザインを備えた新世代のリサイクル製品を作ることです。

ECOALFの製品はどれも、言われなければリサイクル製品だとは気が付かないレベルの品質を実現しています。

ECOALF/エコアルフの商品写真
©Ecoalf

──なるほど。ちなみに、ブランドの歴史のなかでもっとも重要な出来事を教えてください。

 

今のようになるまでには、いくつかの重要なマイルストーンがありました。

まず、2015年に、海にあるプラスチックや漁業用の網などの海洋廃棄物を回収し、最高品質の衣服に変えて廃棄物に第二の人生を与える「Upcycling the Oceans」プロジェクトが誕生しました。このプロジェクトは現在でも続いています。

次は、2018年。スペインのファッションブランドとして初めてBコープ認証を取得しました。Bコープとは、地球環境の持続可能性の実現に向けて貢献する企業にのみ与えられる栄誉ある称号です。

そして2020年には、Upcycling the Oceansプロジェクトで集めて作った繊維と藻類の靴底を組み合わせたフットウェアが、市場でもっとも低いカーボンフットプリント(4.51kg CO2eq)を達成したことです。

これはブランドが、そしてファッションビジネスというシーンが変化する大きなきっかけになりました。

<取材後記>

最近はエコという言葉が一種のブームのようになっていますが、彼との話を通してECOALFが流行りでエコを取り入れているわけではなく、ブランドの存在意義自体が地球環境への貢献であることがわかります。次の記事ではそんなECOALFの哲学とこれからの持続可能性のあり方についてさらに踏み込んでいきたいと思います。

【第2回】は7月3日19:00公開

Top image: © Ecoalf
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。