お宝はレアな酵母!126年間海底で眠った「未開封ビール」
ビールがひときわおいしい季節まで、あと少し。
近頃はつくりたての味わいが楽しめる工場直送ビールも出てきたけれど、もしかすると大昔につくられたビールもおいしかったりして……?
アマチュアダイバーのスティーブ・ヒックマンさんが「BBC」に語った“お宝ビール”について、一部抜粋してご紹介しよう。
物語の舞台は1895年、スコットランド沖に沈んだ貨物船「ワラキア号」。
1980年代、この船に出入りし始めたヒックマンさんは、船底で数千本のビール瓶を発見した。なんと、そのほとんどが未開封!
少しずつ陸上へ持ち帰ってグラスに注いでみたところ、ゆっくりと沈殿し、濃厚でクリーミーな泡が立ったという。が、期待に胸を膨らませて鼻を近づけたところで、魔法は解けてしまった。
「これまで嗅いだ中で一番ひどい匂い。腐ったような、塩辛いような......そんな表現がぴったりだと思う。味もよくなかった」とヒックマンさん。いやいや、よくお飲みになったわね……。
そんな折、研究機関「Brewlab」に遺伝子診断を依頼してみたところ、「ブレタノマイセス」と「デバリオマイセス」という、近年では珍しい酵母の組み合わせで造られていることが判明。“濡れた馬”とか“農家”みたいな香りが特徴なんだとか。
研究者によると、今日の醸造業界に革新をもたらすかもしれないほどの珍しさだそう。
というのも、現在のビール業界では、変わった酵母を使うことでユニークで豊かな風味を持つビールができるかもしれない、と大昔の酵母に注目が集まっているから。
100年以上前のシロモノを飲んでみる気概にも、中身を徹底解析して未来への活路を見出す研究者の熱意にも、思わず乾杯してしまいそうだ。
Reference: BBC
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