依存症でない健常者が断酒すると、どのような効果を得られるのか
最近のトレンドとして、「Dry January」のように1ヵ月間アルコールを断つ動きが拡大している。この背景には健康やカロリー摂取の懸念があるだけでなく、若者を中心にアルコールを摂取しない選択が増加しているという現実もある。
実際、アメリカの大学生のうち、過去20年間でアルコール摂取を避ける層は8%増加。2019年の英国の調査では、16歳から24歳の成人のうち26%がアルコールを飲まないと回答している。
そこで疑問が生まれる。「実際にアルコールを断つと、体にどのような変化があるのか?」
2018年に『British Medical Journal』に掲載された研究によれば、アルコール依存症の経験がない中程度から多量のアルコール摂取者が1ヵ月間アルコールを断った結果、その健康効果が明確に示されたそうだ。
「彼らの血圧は平均で6%下がり、体重も約1.5キロ減少。さらに、糖尿病のリスクを示すインスリン抵抗性も25%減少した」と、同研究の著者であるKevin Moore氏は述べている。
さらに興味深いのは、癌の成長を促進するとされる血中のタンパク質レベルが、73%から41%まで大幅に減少した点だ。
これについて、Moore氏は「これらの発見がアルコールが体内での癌の成長を促進する可能性を示唆している」と述べ、長期的な調査が必要だと付け加えている。また、体調や睡眠の質など、QOLの向上にも期待できるそうだ。
しかし、こういった健康効果が1ヵ月を超えて持続するかについては、まだ明確には分かっていない。同氏は「アルコールが身体に生理的な影響を与えていることは明白なので、その影響がすぐに消えるとは考えにくい」との見解を示しているが、引き続き調査が必要である。
では、すべての人がアルコールを完全にやめるべきなのだろうか。特定の状況、例えば「癌を持っていて、その成長を気にしている人は飲酒をやめるべき」とアドバイスするMoore氏。
一方で、アルコールを断つことのデメリットとして多くの人が挙げるのは、社交の場でのアルコールの楽しさを失うこと。
ノンアルコール飲料やモクテルのような選択肢が増えてきている現代。大切なのは、アルコールの摂取を控えることで得られる健康効果を考慮に入れつつ、「自分に合った選択をする」ことだろう。
1ヵ月断酒、興味深いトレンドですね。ノンアルや微アル飲料のブームが、少し進んだ段階のように思えます。
筆者は余りお酒を飲まない(弱くはないし、昔は飲んでました)方でして、実際にいまの血圧や体重は低いほうだと思います。ただ、自覚するQOLは以前にも増して最低クラスだと思います。
素晴らしい効果ではありますが、過信は禁物かもしれません。