サル社会に変化。高崎山で初「メスザル」が群れのトップに

大分市の「高崎山自然動物園」でメスザルが上位のオスザルを押しのけて、群れのトップにたった。1953年の開園以来初めてのことだという。

園にはAとBの2つの群れが存在し、今回B群の頂点に君臨した「ヤケイ」は9歳。人間ならば30歳前後だそう。もとはおとなしい母ザルだったそうだが、今年2月、序列2位のオスザルに求愛されてから様子が一変。翌月、メスザル1位だった実の母との親子ゲンカの末に「雌頭(メスガシラ)」の座を奪った。

6月、いよいよボスザルとの一騎打ち。7年間王座にいたオスザル「ナンチュウ」を力でねじ伏せると、他のサルたちも彼女を認め、ついには初のメスボス誕生となった。

ところで、飼育環境下によっては稀にメスザルがその座に着くことがあるという。現に上野動物園のサル山でも、これまで5匹のメスが頂点にたったことがある。多くの場合、血縁や家族関係によるそうだが、ヤケイのようにメスザルが力で支配した例はかなりレアのようだ。

さて、もうひとつこのニュースが興味深いのは、ヤケイの第1位就任にともない「高崎山自然動物園」がボスザルの呼称を従来の「アルファオス」から、「群れの第1位」へと変更したこと。

アルファオスとは、群れで1位の“オス”を指す表現。今回メスザルがその座に着いたことで、呼び名を変える必要が生じたわけだ。従来スタンダードとされてきたことが今の世にあってマッチしなくなっている例は、人間社会においても往々にして生じている。

今回のメスザル台頭も、サル社会でのウーマンエンパワーメントと呼べなくもない気がしてくるのは筆者だけだろうか。

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