「入れにくさ」を逆手に取ったリサイクルボックスが、街の美観をつくりだす
日本が、世界一の自販機大国であることは周知の事実。環境、安全面、国民性、さまざまな理由があるだろう。でも、主役の自販機とともに脇に設置されたリサイクルボックスには、“民度”が表れるものだ。
全国清涼飲料連合会によると、清涼飲料水の中でもペットボトル飲料は全体の76%を占めるそう。SDGsの取り組みとして、業界全体で2030年までにペットボトルの100%有効利用、ボトルtoボトル比率50%を宣言し、プラスチック資源循環を促進している。
そこで重要になってくるのが、使用済みペットボトルの確実な回収と、きれいな状態で集めること。
そのため連合会は、異業種連携による新たな取り組みとして、「自動販売機リサイクルボックス異物低減プロジェクト2021」をスタート。新機能のリサイクルボックスを用いた実証実験が今月下旬より開始となる。
では、従来のリサイクルボックスと何が変わるのか? 以下の画像を見てほしい。
ペットボトル投入口が下向きになっているのがお分かりいただけるだろうか。プラカップが投入できないよう投入口はペットボトルが入るサイズに最小化されていたり、大きな異物を投入されないよう上部と下部を結束バンドで固定するなどのアップデートはあるが、基本これだけ。
「下からの入れにくさ」「遠望から投入口が見えない」、たったこれだけの機能ながら昨年11月の渋谷区での実証実験において、異物数が48%減、異物混入割合も43%から29%へと改善したというのだから、効果は大きい。
もうひとつ、特筆すべきはカラーだ。
思い出してほしい。自販機脇にのボックスといえば、ブルーやグレーを連想するはず。それをSDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」のアイコンカラーに合わせて一新させた。
単純に色を変えただけ?そうじゃない。下向き投入口も、カラー変更も、すべては「脱ゴミ箱」への布石だ。冒頭、“民度”とさせていただいたのも、いま一度自身に問うていただきたいから。
あれって、ゴミ箱だっけ——?
連合会の実態調査では、リサイクルボックスの中身の約3割は、清涼飲料空容器以外の異物らしい。異物が減れば、それだけリサイクル現場での作業効率が上がり、品質や量も改善でき、キャップ、ラベルの分別回収も進めることにより、カーボンニュートラルの実現が図れるという。
誰かがやってくれる……いくらリサイクルを心がけていたって他人任せでは、結局何の解決にもならない。
今回の検証実験を踏まえ、連合会は、業界統一仕様の汎用型リサイクルボックス導入を2022年秋に向け進めていく予定だという。