この写真、日本人は見れるか。

世界のデジタル化に伴って、アートの世界も新たな可能性へと進み続けている。

デジタルデータの取引であるNFT市場が拡大するなか、著名な画家や写真家も作品をデジタルで販売する例が増えてきている。

今回NFTデビューを飾ったのは、世界的なフォトグラファーのレスリー・キー

9月28〜30日にかけて、世界最大規模のNFTマーケットプレイスである「OpenSea」にて、キー初となるNFTオークションが開催されるのだ。

© NFT art auction/YouTube

本オークションで公開されるのは、キーによる3つの連作、「FRANCIC BACON」、「BOOKISH」、「BOYS PLAY」に含まれる計85点。彼が得意とするヌードをはじめ、ポートレートや静物写真などそのジャンルは多岐にわたっている。

LGBTQ+やSDGsといった社会活動的なプロジェクトを手がけてきた彼の、自由や多様性への過激とも捉えられるメッセージが凝縮された作品群だ。

さて、ここで少し気になるのはキーの“表現性”の問題。

2020年に自身も同性カップル婚姻の証明書を取得した彼の作品は、社会的なテーマを含んでいることがほとんどだ。

あの『VOGUE』のメインページに「ヨウジヤマモト」とのコラボ、安室奈美恵やレディー・ガガの撮影を手がけるなど、その芸術性は世界的なレベルである一方、あまりにも露骨な表現やメッセージは賛否を巻き起こすこともしばしば。

日本では過去に写真展を開催した際に販売した写真集が「わいせつである」として警視庁に逮捕されたこともある。

そんな彼の作品が、望めば誰もが閲覧できるNFTの世界に放たれたということは、“表現の在り方”そのものを見直す機会が訪れていると言えるのではないだろうか。

これまで「露骨だ」とか「わいせつだ」として排除していた表現も、もはや完全に取り締まることはできない。それどころか、排除している事実のほうが「多様性を受け入れられない」として問題になってしまうのが現代だ。

日本ではヌード展でさえ規制が及んでしまうのが現状だが、オリンピックをはじめそれがもたらす弊害を世界に晒してしまった経験をしたばかり。反省を糧に、古い価値観を乗り越えることはできるのか。アートは、その可能性にとって大きな意義のあるものだ。

NFTがアートにもたらす可能性は、単に保存の方法だけではない。もたらす自由が人々のイデオロギーに革新をもたらすことに期待したい。

Top image: © NFT art auction株式会社
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。