「同性愛は生物の本能から逸脱しているか」科学系YouTuberのBossBが、明快な答えを語る

2001年にオランダで世界初の同性婚が認められて以来、ヨーロッパやアメリカ、アフリカの国々でも続々と合法化が進み、現在では35の国と地域にまで拡大している。

一方、日本においては、近年になって多くの自治体で「パートナーシップ制度」が導入され始めているが、法的な効力を持つ同性婚は未だ認められておらず、議論は継続中だ。

こうした議論で否定的な意見としてよく挙がるのが、「子孫を残すという生物の本能にそぐわない」という話。実際のところ、これはどうなのだろうか?

答えに迫る、ある動画を紹介しよう。

YouTuberであり天文物理学者でもあるBossB(ボスビー)さんの『レインボープライド』と題されたショート動画だ。

天文学や物理学、科学的な視点からパワフルで明るいメッセージを発信する彼女が「LGBTQや同性愛は、生物の本能から逸脱しているのではないか」という問いに対し、3つの論点とともに意見を述べた。

1.性行為を行う全ての生物に同性愛は存在する

そう、同性愛やバイセクシャルといった性的嗜好を持つ生き物は、人間だけではない。哺乳類をはじめ、同性同士による性行為は自然界でも日常的に見られる光景だ。

「ボノボに関しては、ほぼバイセクシャルらしい。至って自然な現象」とBossBさんは言う。ボノボはチンパンジーとよく似た霊長類で、最もヒトに近い生物の一種。

そんなボノボの社会において同性間の性行為は非常に盛んで、種全体の性行為の6割以上はメス同士によるものとされているほど。

自然界において、同性愛は当たり前。決して不自然なものではないのだ。

2.生物の目的が子どもを作ることだから
と反論する人へ

彼女は言う。「目的や意味は、意識のある我々が与えるもので、自然や宇宙に目的も意味もない。」

そもそも“生物に(生きる)目的がある”という概念自体が、あくまでも人間の視点から見た憶測に過ぎないのだ。

つまり、生物や自然界に目的などないので、「子孫を残すという目的にそぐわない」なんて批判は人間主観の一義的なもの。自然の原理を引き合いに出すことは、非常にナンセンスというわけ。

深い話だが、天文物理学者に言われれば納得だろう。

3.なぜ男と女が惹かれるのかは
科学的に解明されていない

実は、男女が惹かれ合う理由は科学的に解明されていないのだそう。

ストレートとされる男女間の愛情は説明できないのに、同性愛や両性愛だけが理由を説明しろ、なんて論法は成り立たない。どんな形であれ、愛の原理なんて神のみぞ知る、ということらしい。

「LGBTQの方だけ説明しなければいけないのはおかしい。社会的、政治的に同じ権利がないのはおかしい。様々な差別の対象になるのはおかしい。」とBossBさんは繰り返している。

男女が惹かれ合うことに“正当な理由”があるのではなく、異性に惹かれた個体だけが偶然子孫を残せただけなのかも。

 

最後に、BossBさんは「あなたも私も、そのままで素敵!輝いてる星の子、Peace!」と特大の笑顔とピースで動画を締めくくった。

 

世の中が多様化する現在、誰にでも当てはまる幸せなんてない。

だからこそ「生物の本能である子孫繁栄に貢献すべきだ」という生物学的な価値観は的を得ているように思える。しかし、それはあくまでも人間の勝手な意識であり、生物に意味も目的もない──。

多様性は、当たり前にそこにあるもの。自然に倣い、人間界でも皆がありのまま平等に生きれることを望むばかりだ。

© bossb5553 / YouTube
Top image: © iStock.com/USO
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