ドイツ史上初！「トランスジェンダー女性」の国会議員が誕生

「（この当選は）「緑の党」だけでなく、LGBTQ＋解放運動やクィアコミュニティ全体にとっても歴史的な勝利と言えるでしょう。この結果は、オープンで寛容な社会の象徴ですから」

「本当に！？まだ信じられませんが、この歴史的な選挙結果により、私は次の連邦議会の一員に加わることになりました」

「ロイター」の取材にこう語るのは、ドイツ「緑の党」所属のTessa Ganserer氏（44）とNyke Slawik氏（27）。このたびの国政選挙を経て、国内で初めて議席を獲得した2人のトランスジェンダー女性だ。

両氏とも、自身の当選をLGBTQ＋の権利向上において歴史的なできごとと捉え、差別根絶に向けて国家レベルの政策をとることを最優先課題としている。

たとえばGanserer氏は、身分証明書の性別変更手続きの簡素化や、レズビアンの母親が養子を迎えられるようにするための法改正を。

Slawik氏は、ホモフォビア（同性愛嫌悪）とトランスフォビアに対する全国的な行動計画や、自己決定法、一般平等取扱法の改善を訴えている。

2017年に同性婚が合法となった同国だが、手放しに「LGBTQ＋の人々の生活は安心安全なもの」とは言えないのが現状だ。というのも近年、同性愛嫌悪や政治的動機を理由としたヘイトクライムが急増しているから。

ドイツ警察の報告によると、昨年、LGBTQ＋の人々が被害に遭った犯罪は合計782件であり、うち約150件が暴力を伴うものであったという。

性自認以外にも、出身地や肌の色、話し方や考え方など、色とりどりの“ちがい”を持っている私たち。

それを盲目に恐れたり攻撃したりする人々、そして既存の法や制度などの構造そのものに対して両氏がどのように切り込んでいくのか、楽しみだ。