「異性装」の歴史から探る「男らしさ/女らしさ」とは?【渋谷区立松濤美術館】

男らしさ、女らしさ──

それらが、日本の「異性装」という歴史の中で、どのように表現されてきたのかを探る展覧会「装いの力-異性装の日本史」が、「渋谷区立松濤美術館」にて10月30日(日)まで開催中だ。

三代・山川永徳斎 《日本武尊》昭和時代初期(20世紀)個人蔵

©TNM Image Archives

法橋関月《巴御前出陣図》
江戸時代(18世紀) 東京国立博物館【後期展示】

©彦根城博物館/DNPartcom

《朱漆塗色々威腹巻》
江戸時代 彦根市指定文化財 彦根城博物館【前期展示】

たとえば、『古事記』のヤマトタケルノミコトや、『平家物語』『吾妻鏡』に登場する女武者のような神話・創作物語上の人物たち。

江戸時代の例としては、若い少年や役者をあらわす「若衆」に、男性の役者が女役もこなす「歌舞伎」などの芸能……それらにおける異性装のあり方を、衣裳、絵画、写真、漫画、映像といった多様な作品を通して紹介する。

森村泰昌《光るセルフポートレイト(女優)/白いマリリン》
1996年 作家蔵(豊田市美術館寄託)

シモーヌ深雪&D.K.ウラヂ
《DIAMONDS ARE FOREVER ROYALWIG》
2018年 DIAMONDS ARE FOREVER

展示は時代別の全8章で構成。

とりわけ現代の章では、現代美術家・森村泰昌が有名映画女優に扮したセルフポートレート「女優シリーズ」や、故・グロリアス(古橋悌二)やDJ Lala(山中透)、シモーヌ深雪らがドラァグクイーン黎明期にはじめたダンスパーティー「DIAMONDS ARE FOREVER」によるインスタレーションなど、ジェンダーセクシュアリティの“らしさ”を打破した作品が展示される。

© 渋谷区立松濤美術館【公式】/ Twitter

一時期は罰則の対象となり大きな批判を浴びながらも、消えることなく文化を醸成してきた異性装。その営みの「これまで」を知り、そして「これから」を考察しに……訪れてみては?

なお、関連イベントとして学芸員によるギャラリートークや「女装メイク講座」なども開催予定。

併せてぜひ。

装いの力―異性装の日本史

【会場】渋谷区立松濤美術館(東京都渋谷区松濤2-14-14)
【会期】前期:2022年9月3日(土)〜10月2日(日)/後期:10月4日(火)〜10月30日(日)

Top image: © 1996年 作家蔵(豊田市美術館寄託)
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。