世界は変えられるかもしれない(ほんとに)。

「自己啓発本のタイトルですか?」と思った方へ。

あのレッドブルが主催する次なるプログラムの話です。

世界中の大学生に向けた次世代イノベーター育成を目指すプログラム「Red Bull Basement(レッドブル・ベースメント)」が2021年もまた開催されます。

テクノロジーを軸に、世の中を前進させるようなポジティブなインパクトを与える発想が世界中から集められ、そこに企業やメンターからの技術や実用性、ビジネス面でのアドバイスが加わることで、単なる学生の思いつきに終わらず、自分たちのアイデアが徐々にかたちになっていく。学生にとってはまたとないチャンスでしょう。

「世界を変えるってどういうことですか?」という質問にお答えすべく、2020年の日本代表チーム「hummingbird」の須田隆太朗さんと袴谷優介さんにインタビューを敢行。

参加当時のことから現在進行中のプロジェクトまで聞いてみました。

→気になる

学生時代に参加する
価値って大きい。

右:須田隆太朗。「hummingbird」のリーダー。中高でプログラミングの楽しさに目覚め、東京大学に推薦入試で入学。夢は数学や物理を使って世に役立つものを生み出すこと。

左:袴谷優介。2021年に大学卒業。現在は、大手通信事業会社にて法人向けDX商材の企画を担当。卒論のテーマは、意外にもラグビーの歴史について。

 

——エントリーのきっかけは何だったのですか?

須田:hummingbirdのメンバーのひとりが「やろうよ!」って最初に声をかけてくれたんです。で、学生寮のスペースでたまたま作業していたときに「優介、最近忙しい?こういうのあるんだけど出ませんか」みたいなノリで始まりました。なので、示し合わせてやったっていうよりは、同じ空間にいたから偶発的に始まったっていう感じですかね。

 

袴谷:メンバーとはもともと仲良い友人でした。プログラミングの勉強をしていたり、共通の話題がある仲間でしたが、それまで集まって何かプロジェクトを進めることもなく。メンバーが声をかけてくれたことがきっかけでした。

じつは「hummingbird」は、青山奈津美さんと木村拓仁さんも含む4人のチーム。同じ学生寮に住んでいたことが出会いのきっかけ。

 

——そのときからすでに優勝をめざしていましたか?

袴谷:各々違うとは思いますが、最初はそこまでの温度感ではなかったかな。イベントの内容も面白そうでしたし、レッドブルがかっこいいことをやっている会社だってことは知っていたので、いい思い出になればいいなと、最初はその程度の気持ちでした。でも、チームの温度が高まるのは早かったと思います。少なくとも僕については。

 

須田:ま、チームとしてやるからには優勝をめざそうという心意気はありましたよね。

 

——卒業を待たずとも、学生時代に参加できることも魅力的ですよね。

須田:学生を卒業して社会に出ていく上で、必要なことをたくさん教えてもらった時間でしたね。たとえば、メンターさんとのセッションはこちらからアポイントメントをとって、会議室やスペースを確保して……と。これって社会に出る上で誰にとっても欠かせないことですよね。最初の説明会でもレッドブルの方から「社会のマナー的な部分は、君らにまかせるから意識してやってね」とおっしゃってましたし、社会人としてあんまりよくないよってことをしてしまったときにはすごく優しく教えてくれました。

 

袴谷:自分がやりたいと思ったことに、とりあえずチャレンジしていいんだなって思えることは、どんな道を選ぶにせよ大事なことだと痛感しました。自分のやりたいことに愚直に向き合うことも惜しまなくなった。僕は卒業して就職を選択しましたが、自分の目的をはっきりと意識した上で、この会社にいることがそれにどう役に立つのかを真剣に考えるようになりました。

それから、自分のキャリアを再考するきっかけにもなりましたね。それは表層的なキャリアということではなくて、自分が本当にやりたいことは何かと。より本質的なキャリアについて考える機会を、仕事というものをはじめる前に与えられるっていうのはすごい大きな影響があると思うし、少なくとも僕にはいい影響がありました。

応募時にしていた
最大の失敗。

学生寮のスペースで議論中の2人。

 

——そこから応募準備をして、そして日本代表に選出され、プロジェクトをすすめていくと。

須田:僕らが応募を決めたのが、締め切りの5日前とかかなり直前でした。そこから一気につくっていったので、毎日深夜まで学生寮で議論をして、アイデアを練って、動画を撮って。

代表に選ばれたあとは、1ヶ月くらいかけてグローバルワークショップの準備をしました。グローバルワークショップで僕たちに与えられる時間は2分間だけ。実際にプロトタイプをつくったり開発をすすめる時間よりも、ストーリーを考えている時間のほうが長くて、それが大変だったかな。メンターさんに持って行っては修正をして……ということをひたすら繰り返していました。

 

袴谷:直前にRed Bull Basementの存在を知ったので、準備の期間がお世辞にも豊富ではなかった。音力発電はそのなかで決めたアイデアなんです。だから、これって俺たちのやりたいことだっけ?本当にやりたいこととはずれているんじゃないか?って途中から浮かび上がってしまいまして……。あとから振り返ると、応募の時点で些細なことだけど重要な失敗をしていたんですよね。それが僕の燃料切れにもつながるわけですが。

デモンストレーションのため開発したプロトタイプ。

 

——燃料切れ。それは体力的なことですか?

袴谷:チームとしてどこに向かっているのかわからなくなっちゃったタイミングがあったんです。そこでパッションとかモチベーションが枯渇してしまったというか。言わずもがなモチベーションが全ての土台だと思うので、これがいろんなところに響きました。1ヶ月って短いようで、そのときの僕たちにとってはとても濃密な時間だったんです。

 

須田:たしかに時差はきつかったですけどね(笑)グローバルワークショップはオンライン開催で、スタンダードタイムがヨーロッパだったので、アジア勢は眠かったと思います。

グローバルワークショップまでの1ヶ月間は、メンターさんと週2〜3回くらいでメンタリングセッションをさせていただいて、その度にふんわりとしたアイデアだったのかたちにしていきました。最初のほうはこてんぱんにされましたね(笑)

 

袴谷:冷静にいま考えれば、それってとんでもなくありがたいですよね。大の大人がこてんぱんに意見を言ってくれる機会なんてまあないですから。そんな貴重な機会も、ついモチベーションが切れているとついつい「もうそろそろよくね?」みたいになっちゃっていたときもあって。そんな燃料切れが大変でした。何が悪かったのかといえば最初の準備不足。結果的にこれもまたいい勉強になりましたね。

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世界は変えられるかもしれない。

©Gaku Miwa / Red Bull Content Pool

 

——グローバルワークショップはオンラインで開催されたんですよね。

須田:僕がBasementにいちばん期待したことは、他の国の代表たちとの交流でした。グローバルワークショップは「Gather Town」というオンラインツールを使って行われたのですが、ゲームのようにアバターの近くに行くとウィンドウが立ち上がって話せるんです。全体のイベントがあるときはホールに行って、それぞれが発表する。その他の時間のほとんどは他グループとの交流時間でした。

僕たちが「音を使って発電をして……」と話すと「うちの近所の交差点はかなりやばいよ。需要あるかもしれない」とか。彼らはもちろん自分たちのサービスを話に来ているけど、同じくらい僕らがもっていることにも真剣に向き合ってくれて。お互いにリスペクトし合えているなあというのはオンラインでも伝わってきました。オフラインだったらもっと楽しかっただろうな。

 

袴谷:他国の代表たちがやっていることは、ジャンルも内容もクオリティもバラバラでしたけど、それぞれの領域で自分たちがやろうとしてることや、それが世の中に与えるインパクトを本気で信じていることが伝わってきました。「インパクト与えてやるぞ」という気概まで感じました。とはいえ、みんな僕らと同じ学生なんですよね。同世代が本気で取り組んでいるだけでも感動しましたが、さらに、すでに一部にインパクトを当て始めているやつらがいたんです。そんな姿を見ていたら意外と、世界を変えられるかもしれんぞ」って。

 

——今回のインタビューは、hummingbirdのみなさんが開発中の「Stat!」を使っていますが、本当にやりたいことが見つかったということですかね。

須田:いま、袴谷と青山と3人でこのサービスをつくっています。誰もが遠隔通話できる便利な時代ですけど、やっぱり、人と人とが対面で話すことはすごく大事。そこには人が人として生きるには大事なことがいっぱい詰まっていると思っています。

対面にあって、画面越しではできていない何かがあるはずなんです。画面越しだと相手の雰囲気がわかりづらいとか、リアクションがわかりづらいとか、そういう壁をなくせるものをつくりたいなあと。こうやって言語化して、2人を巻き込み共感をしてもらって一緒に活動しているところです。これもRed Bull Basementでメンターさんと話しているうちに、だんだん見えてきたことですね。

開発中のオンラインコミュニケーションツール「Stat!」。うなづきを感知するとgoodの絵文字が表示される。タイマーやBGM、アジェンダを記入する場所も。「なんの話してたっけ?」なんてことも減りそう。
URL:https://stat-web-6372a.web.app/

 

——たしかに画面越しならではの煩わしさってありますよね。話し始めるタイミングがお見合いしてしまったり、相槌が打ちづらくて一方的な話になってしまったり……。

須田:そういうことって対面だと、自然と相手の目をみたり、雰囲気に吸収されて解消されていたものなんですよね。だけどいま、みんながそこにフラストレーションを感じている。それを解消するために、まず表情を汲み取ることを第一歩としてやっています。うなづきを感知したり、絵文字でリアクションを出してみたり、チームでつくれるところからやっていこうという感じです。

 

袴谷:まるで隣にいるかのようなコミュニケーションを実現させることがミッションですかね。そのために、キーボードのLを押したら、即退室できるようにしてみたりとか。ふと立ち止まってする世間話のような気軽さを表現するためですけど、そんなことが僕らが目指す世界に近づくためのひとつの要素かなと思ってます。

 

優等生みたいな答えではなく
自分が本当にやりたいことを。

 

——最後に、参加を迷っている学生さんたちにメッセージをお願いします!

須田:参加することでマイナスなことってないですよね。1分間で自分のアイデアをまとめて、それを伝える。他のチームのアイデアをみて、人気の理由を考えたり、応募する・しないというプロセスだけでも大きな違いがあると思いますし。

あまり悩まずに思いついたアイデアを堂々とやってみたらどうでしょう。あと、優等生みたいな答えを考えるよりも、自分が本当にやりたいことをする。僕らは逆にそこで苦しんだので。それを見つけるには、心から楽しいと思えることや、自分の身近なところで困っていることからはじめるといいんじゃないかなって思います。

 

袴谷:言いたいことは一緒だな。考えを外に出すことではじめてわかることが絶対あると思うんですよね。僕は物知りなほうだと思います。だけど、それは僕のなかで止まっていて、知識を外に出して何かをしようってことに気持ちが向いてなかったんです。「自分がひとり何かしたって変わらないよ」って、ませたことを考えていたんです(笑)

頭の中で「こんなことあったらいいなあ」って空想しているうちは楽しいし、まわりから鋭いことも言われないので、安全で快適。そこから一歩勇気を出せば、傷つくことがあるかもしれない、というかむしろそっちのほうが多いですよね。ただしその一方で、いいことがあったときのインパクトが半端じゃない。僕はそれをRed Bull Basementで経験できました。頭のなかにやりたいなあと思うことがあるのなら、とりあえず1本の動画を撮って出しちゃいなよって思います。

→エントリーしてみる

【Red Bull Basement】


応募期間:2021年9月1日20:00(水)20:00〜10月25日(月)7:00
応募資格:日本の大学に通う学生(18歳以上)、2021年12月13日(月)〜12月15日(水)開催のグローバルワークショップに参加できる人
応募先:https://basement.redbull.com/ja-jp
応募方法:個人または2人1組のグループで学内や学生生活での社会・環境問題を解決する革新的なアイデアを1分以内の動画にして公式サイトにアップ。
※グループ人数は3人以上も可能ですがグローバルワークショップは2名まで
※応募は日本語でも可能、グローバルワークショップは英語で実施されます。
※Red Bull Basement に参加した学生は、日本を代表する企業が参加するLinkedIn 上の特別なコミュニティに入れます。そこで企業からアイデアに対するコメントやアドバイスが得られると共に、Red Bull Basement 終了後に、企業からインターンシップや採用のオファーを受ける機会を得ることができます。