犠牲者まで発生した「ロンドンのビール洪水」とは?
何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。
それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。
アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?
ロンドンでビールの洪水が発生した日
嘘のような、本当にあった悲劇の話。
イギリス・ロンドンのセントジャイルズ地区にある「ミューズホースシュー醸造所」から轟音がとどろきました。ときは208年前(1814年)の今日、時刻は午前6:00頃。まだ多くの人が床についている時間帯です。
周辺の住宅の壁や窓、そして大地をも揺らすほどの衝撃波の正体は、巨大なビール樽の倒壊によるものでした。
醸造所が誇る、高さ約7m、幅約18mの醸造用タンクを支えていた金属のベルトが破損し、樽が決壊。約60万l(リットル)のビールが鉄砲水のように流れ出し、醸造所内のタンクを次々となぎ倒していきます。
瞬く間にその量と勢いを増した泡立つ黄色の液体が、近隣の住宅を破壊し、地下へと流れ込んでいく。その総量、じつに145万l以上。小学校などに設置されている25mプールの約4杯分に相当する量です。
記録によると、この事故によって犠牲になった人も複数存在し、同エリアは数週間にわたってむせるようなビールの匂いに悩まされたとのこと......。
厄災が、思いもよらない理由によって突如として降り掛かってくるのは、200年前も今も同じ。こんな時代だからこそ、そんな思いを、心と頭の隅に置いて生活することを心がけていきましょう。
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