全米が大混乱した「衝撃の臨時ニュース」の真相

何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。

それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。

アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?

ラジオドラマ『宇宙戦争』により全米でパニックが起きたとされる日

1938年10月30日、米「CBS」のラジオ番組「The Mercury Theatre on the Air(マーキュリーシアター)」の放送中、流れていた曲が中断され、臨時ニュースが飛び込みます。キャスターは、興奮を抑えきれない様子でこう伝えました。

「火星人が地球に襲来......現地の住民、約40人が殺害されました!」。

有史以来、人類が経験したことのない脅威に直面し、放送を聴いていた人々はパニックに陥ります。全米中の幹線道路は我先にと避難する自動車で溢れ、街は護身のために銃や武器を携えて逃げる人たちで大混乱に。

そこにあったのは、SF作品などで描かれる“地球最期の日”、そのものでした──。

さて、ここまでで「ひとつの真実」と「ひとつの嘘」、そして「ひとつの謀略」が含まれているのですが、わかりますか?

まず、真実。

番組内で「火星人襲来」が伝えられたのは本当です。が、これはH・G・ウェルズによるSFの名作『宇宙戦争』をアレンジし、ラジオドラマ化したもの。

そして、嘘。

これは当然ながら、異星人が地球を襲撃し、死者が出たというニュースの内容です。

次に謀略についてですが、このお話のポイントはここ。

「ラジオドラマの過剰な演出により、全米がパニックに陥った」というストーリーは、当時、デビューしたばかりながら、その速報性の高さから支持を集めはじめていたラジオというメディアに対して危機感を抱いていた紙媒体が、その情報の正確性に不信感を抱かせようと記事化したものといわれています。

その記事があまりにもセンセーショナルであったため、尾ひれがつき、一連の出来事がまるで事実のように語り継がれるようになったのだとか。

さて、そして現代。多くの人にとって欠かすことのできない重要な情報ソースのひとつ、SNS。しかし、投稿内容の真偽を見極めるにはネットリテラシーの有無が重要になってきます。

パニックに陥らない、陥らせないために、“真実をみる目”を養っていきましょう。

Top image: © Marko Aliaksandr/Shutterstock.com
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