【衝撃ニュース】技術の進歩?食料問題?「クローン犬」コンテストが物議を醸す(イギリス)

約1,000万円でクローン犬を生み出すビジネスを展開している韓国の医師がイギリスのテレビ局「Channel 4」である発言をし、物議を醸している。

韓国企業「Sooam Biotech」社のクローン研究者であるDr. Hwang Woo Suk博士はイギリスのテレビ番組でこう発言した。

「コンテストで優勝した方には愛犬のクローンを無料でプレゼントします。ただしChannel 4とのタイアップで来年放送する予定のドキュメンタリー番組の制作にご協力下さい」

生きている犬、もしくは死後5日以内までの犬のわずかな皮膚を元にクローンを培養する。実際に誕生させるためには卵子提供犬と代理母犬が必要になるようだが、2ヶ月間に渡る全てのプロセスは韓国で行われる。

同社は2005年からこれまでに550頭を超えるクローン犬をすでに誕生させている。今回行われるコンテスト「Dog Cloning Competition UK」の目的はいかに優秀なクローン犬を決めるかでは無く、クローン技術の発展を社会に広めていくことだとされている。


 

■批判の声

ピューリッツァー賞受賞者でもあり、『Dog, Inc.』の作者でもあるジョン・ウーステンディーク氏からは批判の声も上がっている。

「韓国では救助犬や警察犬、そして賞に輝いたチャンピオン犬などがクローンになる。卵子提供犬と代理母犬は用が済めば食用として市場行きだ。欧米諸国に比べて犬の生命に対する倫理観が低いのではないか」from Tech insight Japan

 Hwang Woo Suk氏は、犬のクローン化は入り口にすぎないと語る。ゆくゆくは食用肉の家畜確保のためにクローン技術を応用していく予定のようだ。

「現在の中国では豚肉が好まれ、牛肉の消費量は1人あたり、年間5kgほどだ。コレは世界平均の約半分であり、アメリカ人の数十分の一程でしかない。今後はクローン技術を向上し品質の高い食用牛肉をより多く確保できるようにしていきたい」

■倫理問題

愛犬をなくしてしまったオーナーがクローンを依頼するケースは増加している。人間より寿命の短い家族を持つ辛さは誰もが感じているものではあるが、しかしその遺伝子を元にクローン犬を「つくる」という行為についてはどうなのだろう?それが全く同じ遺伝子であったとしても、新しく生まれた生命は「コピー」ではない。

食肉用の家畜の為に利用されるクローン技術という点を考えても倫理的に考えれば難しい問題だ。他の国がどうあるかで判断するべき問題ではない。

世界にバラバラに存在している倫理感を1つにするのはいつの時代も難しい。亡くなった愛犬が帰ってきたかのような感覚に心が休まる人もいる。人間のエゴかもしれないが、同じように愛を持って接するのであれば新しく生まれてくるクローンも幸せに過ごすことができるのかもしれない。しかし生まれてくる理由が誰かの代わりだったというのは・・・果たして考え過ぎなのだろうか。

技術が発展していくにつれて、議論の熱量はさらに高まっていくはずだ。クローン技術の進歩と、倫理観の進歩、その両方についてより慎重に議論を進めていく必要があるだろう。


 

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。