まもなく「お花見にミカン」時代がやってくる!

“こたつにみかん”といえば、ひと昔前の冬の定番風景。いま、まさに最旬期を迎えている温州みかんは、品種にもよるが多くは1月中には収穫が終わる。

それを桜の咲くころでも良質な果実が出荷できるよう、品種改良されたみかんが登場した。「春しずか」と命名された温州みかん。あの理研(理化学研究所)の技術が一役買っているという。

先月発表された内容によると、仁科加速器科学研究センターの理研リングサイクロトロンから発生する「重イオンビーム」による変異誘発技術を活用し、新品種の作出に成功したんだそう。

いわく、重イオンビームとは、原子から電子をはぎとって作られたイオンのなかでヘリウムイオンより重いもの(重イオン)を加速器を用いて大量に加速したもののことらしい。

うーん、ムズカシイ。

日本独自の技術である重イオンビームを用いた変異誘発法は、ほかにも「海水の30%程度の塩分濃度の塩害水田でも育成可能なイネ」や、「強風でも倒伏しないソバ」の品種改良にも成功しており、食料問題や環境問題への解決策として大きな期待が寄せられているという。

そして、この「春しずか」も。

国内有数の温州みかん生産地・静岡県では、その大半が「青島温州」と呼ばれる品種。そのため収穫や出荷の時期が集中し、生産農家にとって大きな負担となっている現状があった。さらに、地球温暖化による果実の品質低下も同時に問題となっていた。

変異誘発の技術を用いることで、青島温州より1か月程度収穫時期をずらし収穫労力の分散が適い、食味の向上にも貢献できるというわけだ。

現在、静岡県内9産地において試験栽培を実施。果実の本格的な販売は2027年を予定しているそう。

まだだいぶ先にはなるけれど、近い将来、“お花見にみかん”がスタンダードになるのかもしれない。

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