「マイクの大衆への解放」──戦後から76年続く番組が伝えたいこと。
何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。
それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。
アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?
「NHKのど自慢」の前身番組の放送がスタートした日
毎週日曜のお昼、テレビから流れてくる“鐘の音”といえば、そう、NHKで放送されている生放送番組「NHKのど自慢」。
今日は、そんな誰もが知る番組がはじめてラジオ放送された日です。
終戦からわずか5ヵ月後の1946年1月19日、この番組は「のど自慢素人音楽会」としてスタートしました。
「GHQ(連合国最高司令官総司令部)」の厳しい指導、検閲のもとにはじまった番組ではありましたが、その構成や内容は、当時、世界的にみても非常に“挑戦的”なものだったといいます。
「マイクの大衆への解放」──。
日本でテレビの本放送が開始(1953年)される以前、ラジオは、国や政府、またはそれに類する組織、機関によって支配された“政治的の側面”の強いメディアであり、一般の人がマイクを通じて世間に声を届ける機会などは皆無でした。
そんななか、歌だけでなく、漫談や楽器演奏といったエンターテインメント性に富んだ内容は、荒廃と混乱のなかにあった人々から多くの支持を受け、現在に至るまでの77年間、世代や性別を超えて愛され続ける長寿番組として、今も週末のお昼を明るく彩っています。
ちなみに、判定結果を知らせる鐘ですが、かつては司会者が合格者には「おめでとうございます。合格です」、不合格の場合は「もう結構です」と伝えていたそう。
しかし、「もう結構です」を「(演目の出来が)結構です=素晴らしい」と勘違いした参加者が大喜びするという事態が多発したことから、現在の鐘の音で知らせる方法をとるようになったのだとか......。
たしかに、ちょっと紛らわしかったかもしれませんね。