「ふろしき」にそんな使い方があったなんて......。江戸町人のアイデアがすごい
何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。
それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。
アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?
ふろしきの日
レジ袋の有料化やサステイナブルな観点などから、近年、俄然注目を浴びる「ふろしき」。
素材やデザイン、カラー、サイズなどの幅も広がり、日本を代表するファッションエリア、東京・原宿に専門店がオープンするなど、今やふろしきは、年齢や性別、そして国籍を問わず高い人気を誇るアイテムです。
今日2月23日は「2(つ)/2(つ)/3(み)」の語呂合わせから「日本風呂敷連合会」が定めた「ふろしきの日」です。
じつはこのふろしき、奈良時代にシルクロードより日本に品々が持ち込まれた際にそれらを包んでいた布が源流とされる、じつに長い歴史をもつアイテムであり、一般の人が日常的に使うようになったのは、江戸時代のこと。
家風呂が少なかった時代、町の人々の多くは銭湯を利用していました。脱衣場での着物の取り違えを防ぐため、脱いだ衣類をひとまとめにするために使われたことから「風呂敷」との呼び名がつけられたのだとか。
そんなふろしきですが、町人文化が栄えた江戸の町では、こんな意外な使われ方も......。
「火事と喧嘩は江戸の華」。これは、当時の江戸のカルチャーを端的に伝えるコピーのようなものなのですが、事実、方々に「長屋」と呼ばれる木造住宅が立ち並ぶ江戸市中では、たびたび大きな火災が起きていました。
そんな江戸に住む人たちの間では、布団の下に風呂敷を敷く習慣があったとのこと。
いざ火事が起きた際には、鍋釜や財布といった必要最低限の必需品を布団のうえに投げ置き、下に敷かれたふろしきでくるっと包んで抱えて逃げる......うん、確かに理にかなったシステムといえるかもしれません。
現代では、大切な人への贈り物などを包むなど、少しおごそかなイメージがあるふろしきですが、まさか、かつてはそんな使い方をされていたとは......ユニークなふろしきの歴史に関するお話でした。