ひょうたんの中を金魚が泳ぐ、ノスタルジック「江戸風鈴」
夏を感じる方法は、いろいろだ。
花火大会がなくたって、海やプールで泳げなくたって、この音を味わうことでだって、夏を感じることはできるよ。
それは、「風鈴の音」。
日本の夏の風物詩、風鈴は、かつて中国から伝わった青銅製のものが起源とされていて、よくないものを運んでくる強い風から身を守る「邪気除け・魔除け」として飾られていたとの説もあるんだとか。
今では銅や鉄、ガラスや真鍮、陶器などさまざまな素材のものが作られているだけじゃなく、世代を超えて楽しむことができるユニークなデザインのものもたくさん。奏でる音が自然な涼をくれる、とっておきの風鈴をご紹介します。
「定番」って
じつはすごいことだ
日本人は「音」に対する信仰心がとても強い民族だといわれていて、鎌倉時代の「六学集」という書物には、先にも触れたように、軒下に風鈴を下げ、その音によって災いを防いだと書いてあるんだとか。
また、「朱色」も魔除けの色とされていたらしい。
と、そんな話を聞いたあとでは、この風鈴に描かれている二匹の赤い金魚もやたら神々しく見えてしまうのだけど、よく見るとその表情は素朴で、どこか愛嬌があってかわいらしくもある。
一緒に泳ぐ青い金魚の方は、空想上の生き物なのかな?と思って調べたら、金魚って赤以外にも色々いるんだと知って驚いた(みんな知ってた?)。
鳴り口の部分がギザギザしているのは江戸風鈴の特徴で、わざとそうすることによっていい音が鳴るようにしているのだそう。
すべて手作りなので、当然一つずつギザギザの具合も違えば音色も違ってくる。江戸風鈴との出会いは、一期一会だ。
ところで意外と知らない人も多いかもしれないが、ガラスの風鈴がすべて「江戸風鈴」というわけではない。
「江戸風鈴」と言う呼び名は、その第一人者である篠原儀治氏が名付けたもので、その始まりは、江戸中期に長崎のビードロ師が江戸でビードロの実演をしたことがきっかけとされているんだとか。のちにその長崎で技術を習得した江戸の問屋が販売を始めたことで、ガラスの風鈴が江戸中に広まったそうだ。
しかし昨今、正当な技術を継承する者も少なくなってしまったという江戸風鈴。老舗の篠原風鈴本舗では、父・又平氏にはじまり、今では儀治氏とその後継者となる孫たちが、地道な努力と愛情たっぷりに江戸風鈴を作り続けている。
江戸風鈴といえば定番中の定番。
昔からなんとなくそばにあったせいで、あることが当たり前のように感じていたけれど、それは大切に守り続けてきてくれた人がいたからこそ。そしてこれから先、一緒にそれを守って行くのは私たちだよね。
「江戸風鈴 ひょうたん 金魚」は、税込2,750円。篠原風鈴本舗のオンラインショップなどで購入できます。
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