この金魚。実は、すべて「絵」なんです・・・

どこからどう見ても、水面を泳ぐ金魚。ところが、そこに生きた金魚は存在しない。ならば、リアルな彼らはいったい何なのか?驚くなかれ、これは3Dペインティングによる絵。日本人アーティストのオリジナル技法に世界が注目している。

水面をたゆたう
リアルな金魚

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ひしゃくに掬われた様子を、よく見てほしい。尾びれを力強く左右に振る、金魚たちの躍動感が忠実に再現されている。

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美術作家のRIUSUKE FUKAHORI(深堀隆介)氏。15年前、アーティストとしてスランプに陥っていた彼を救ったのは1匹の金魚だった。彼は自身のこの体験を“救済”にかけて「金魚救い」と称し、金魚をモチーフにしたアートワークを展開している。
なかでも、氏の代表作が、透明の樹脂に直接アクリル絵の具で金魚を描くオリジナルの技法(3Dペインティング)だ。

容器に樹脂を流し入れ、まずは金魚の“ひれ”だけを描く。さらに樹脂を絵の上からかけて硬化を待つ。次は胴体。こうして、描いては樹脂を入れ、また描く。完成までに数カ月を要することもあるという。

世界が絶賛した
日本人の美意識

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現在、NYの「Joshua Liner Gallery」で個展が開催されている。こちらは個展に向けて製作されたインスタレーションの“方舟(はこぶね)”。アクリルの水の中を無数の金魚が群れをなして泳ぐ姿が印象的だ。

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深堀氏が金魚を描く器は、実際に本人が使っていたものや骨董品店で目に留まったものが使われる。器なら何でもいいかと言えばそうではない。器のなかに揺らめく金魚の幻影が見えるものだけを使うと、「WideWalls」の取材に答えている。
たとえ、それが道端に捨てられた欠けた器であれ。深堀氏に言わせると、これも日本の美意識に通づるものがあるのだそう。

 Reference:Deep FlameWideWalls , yfu1999
Licensed material used with permission by Joshua Liner Gallery

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。