ニートから夢を叶えた「アート界のシンデレラ」。描くのは、呼吸する絵?
斬新なタッチの油絵かイラストに見えますよね?でも、よーく見てみてください。妙にリアルな部分がありませんか?
実は…
動きましたね?実はこれ、人に直接絵の具を塗っているんです。
この作品たちは、アレクサ・ミードさんによるもの。フォトショップなどは一切使っていません。この独特の世界観は、3DやVR全盛の今だからこそ、新鮮に映りますね。
アート界に新しい風を吹き込んだ彼女ですが、実はそこに、シンデレラストーリーがあったのです。
もともとは政治関係の仕事を志望
「THE GREAT DISCONTENT」によると、大学で政治学を修め、2008年にはオバマ大統領の選挙キャンペーンでインターンを経験したアレクサさん。将来はワシントンD.C.で働くという目標がありました。しかし2009年大学を卒業する頃には「わたしが本当になりたいのはアーティストだ」と気がつき方向転換。
実家に戻った彼女は、地下室をスタジオにし、独学で絵を学び始めます。しかし「本当の仕事」ではなかったこと、そして今まで歩んでいた人生とまったく違うコースだったため、悔しい思いもあったのだそう。
しかし「影の上に影を重ねて描いたらどうなるのだろう」という絵に対する興味の方が大きく、トーストや目玉焼きなどの食べ物にペイントし始めます。そして、人で作品を作りたい!と自分や友人を実験台にする日々が。影とハイライトを使うことにより「人を絵にする」ことに成功します。
芸術でごはんを食べていく、と本気で決めた彼女。他の仕事をせず、ニート状態でどうしたらフルタイムのアーティストになれるか、をずっと考え続けていたそう。
そして、1つの解決案に達します。それは、好きなアーティストたちにメールを送り「どうやって今の地位を築いたか」と質問すること。そして、返信があった多くの人たちからいろいろなアドバイスを得たのだとか。すごい行動力ですよね。
それから1年。
ついに転機が
2010年。大学を卒業して1年が経った頃、誰かが作品と記事をブログに載せたところ、それが一晩で話題に。今やアメリカ国内はもちろん、ロンドン、パリなどでエキシビジョンを行い「TED Talk」にも出演するほど「時の人」に。
作品同様、ユニークな経歴を持つアレクサさん。「CNN」によれば、自身の作品がテクノロジーのトレンドやアート業界の流れと逆行している、と認めているそう。
「みんな2Dのイメージから3Dにして何かを作るのに興味があるけれど、わたしはその反対。実際にあるものから平べったいものを作り出していると同時に、テクノロジーも合体させているの」とコメントした彼女。
自分が思ったことに突き進む意思と、さまざまなものを取り入れ活かす、しなやかで柔軟な姿勢。これが成功の秘密なのかもしれません。