水中の温室、エビの階段・・・生きものたちとコミュニケーションできる「美しい水槽」(全5種)

先日、台湾で開かれた展覧会「waterscape 水中風景」は、ある日本人が設計した「水槽」を通して、生きもののいる日常的な環境を異なる角度から捉え直す試み。会場には驚くほどデザイン性の高い水槽が展示されました。

その日本人とは、デザインオフィスnendoや日本デザインセンター原デザイン研究所を経て独立した三澤遥氏。ここでは、彼女の作品を5つピックアップして紹介しましょう。

「水中の風景」は、
デザインの力で
もっと魅力的になる。

01.
【水の中の温室 気球型】

ガラス製の球体は、水中に浮かぶ小さな温室。

球体内に空気が溜まるので外気より室温が高く、温室効果で植物がすくすくと育ちます。水中にある水面が、「水面は水の表面にある」という既成概念を揺らがせることに。

02.
【雲のようなかたまり】

実際にはどっしりと重たいものも、水中ではふんわりと軽そうな印象になる。そんな眼の錯覚を利用し、丸みのある白い造形物とその周囲を泳ぐ魚によって、空に浮かぶ雲の中を飛行船が飛んでいる光景を水中に表現したのだそう。

03.
【泡のゾーニング

泡の集積を連想させるボロノイ図を造形に応用。疎の空間は大きな魚の、密の空間は小さな魚のテリトリーとなり、水槽内にゆるやかな縄張りが生まれています。

04.
【開口のある境界膜】

この水槽には「正面」がありません。水槽内を2つに分けたことで、四方どの面から見ても景観がまったく異なる多面的な水槽が生まれました。人工物であることを感じさせない膜状の有機的な境界線は、波形のように水中にすんなりと溶け込んでいます。

05.
【階段の木】

小さなエビのための、小さな止まり木。エビたちは直径8mmの円盤の踊り場でときおり小休止しながら階段を昇り、水底と水面を行き来します。

三澤氏は、作品が完成して初めて水槽に魚やエビを放つ瞬間の緊張感や高揚感が忘れられないのだそう。

「生きものたちがどう反応するのか不安に思いつつ、彼らの適応力を信じて見守っていました。

しばらくすると、小さな階段状の止まり木にエビが着地し、小休憩を始めました。その後も止まり木を転々としながら浮上と潜水を繰り返すエビを見て、まるでこちらが意図した機能を完全に理解してくれているような錯覚を覚えたのです。

今回制作した作品がただのオブジェではなく、生きものたちとコミュニケーションできるデザインとして成立できていることを実感しましたね」。

Photo by Hayashi Masayuki
Licensed material used with permission by 三澤デザイン研究室
他の記事を見る
「Fish on Wheels」は、魚の水槽の土台となるタイヤが、魚の動きに合わせて動くというもの。つまり動く水槽。犬や猫みたいに魚が自分の後を追いかけて...
天気とともに毎日を過ごしているような感覚になれる、不思議な水槽。
全12回にわたってお届けしている、ちょっとディープな台湾ガイド。第2回は、「THE観光」だけでは物足りないという人におすすめの、台湾ローカル気分を満喫でき...
2013年に立ち上げられたデンマークの音楽プロジェクト「AquaSonic」。5人のパフォーマーがそれぞれ水槽の中に身を沈めて演奏します。
行政も非常事態宣言を発令したり、フェンスを取り付けたりといろいろ手を打ってはいるそうですが、目立った効果はナシ。もう慣れちゃってるんですね、人に。
ポートランドに「Portland Chinatown Museum(ポートランド・チャイナタウン・ミュージアム)」がオープン。この博物館では、文字通りチャ...
全12回にわたってお届けしてきた、ちょっとディープな台湾ガイド。最終回は、これから台湾を旅する人のために、意外と知られていない常識を紹介。
現在、東京ドームシティのGallery Aamo(ギャラリーアーモ)において開催されているのは、「天野尚 NATURE AQUARIUM展」だ。果たして、...
現在、東京ドームシティのGallery Aamo(ギャラリーアーモ)において開催されているのは、「天野尚 NATURE AQUARIUM展」だ。果たして、...
「AquaSonic」は、デンマークのパフォーマンス団体「Between Music」によるプロジェクト。何といっても、最大の特徴は水中演奏です。
突然ですが、フィットネスジムって高くないですか? 日本の平均月収はたしか32.5万ぐらい。対して、ジムの月会費の相場は1万円以上。給料の3%以上となります...
水中で、息継ぎしながら、音楽ライブ!?
台湾ポップスを聞いたことがない人へ。台湾語のエキゾチックな雰囲気と都会的なサウンドは新鮮です!
8月16日に台湾のニトリがまるちゃんと花輪くんが登場する動画を公開していました。
全12回にわたってお届けしている、ちょっとディープな台湾ガイド。第4回は、台湾の老舗ホテル・圓山大飯店の地下に存在する「秘密のトンネル」をご紹介。
今ではすっかり有名な、煙草工場の跡地を利用して作られた巨大なアート空間「松山文創園区」や酒工場の跡地をリノベーションした複合施設「華山1914」だってもち...
ドバイのデザイン事務所「Tinkah」が作ったコーヒーカップ。4個セットで約2万円(650AED)。少々高い気もしますが、大切な人へのプレゼントとしておす...
デザインを手がけたのは建築家の隈研吾氏です。
全12回にわたってお届けしている、ちょっとディープな台湾ガイド。第8回は、言わずと知れた台湾一のパワースポット「龍山寺(ロンシャンスー)」について。
同国には、2008年に生き物の権利を守るための法律が細かく制定されていたーーと「The Daily Mirror」が伝えています。たとえば、金魚は社会性が...
もし、子どもが作った作品が名前のない状態で展示されていたら、親は気づいてあげられるでしょうか?また、その結果に子どもはどう反応するのでしょうか?ここで紹介...
どこからどう見ても、水面を泳ぐ金魚。ところが、そこに生きた金魚は存在しない。ならば、リアルな彼らはいったい何なのか?驚くなかれ、これは3Dペインティングに...
一般的には常識外れな亜熱帯の台湾で造られるウイスキー「KAVALAN(カバラン)」。造り方とか調べると、けっこう“台湾としての個性”を感じさせる面白いお酒です。
日本統治時代50年間のなごりを味わう。台湾でローカライズされた日本食がおもしろい。