イタリアコーヒーの5つのゴールデンルール――ベンのトピックス

イタリアコーヒーの
5つのゴールデンルール:ベンのトピックス

みなさん、ベンのトピックスにお帰りなさい!

今日はベンの告白の日です。

イギリス人のイメージと言えば紅茶ですよね。綺麗な庭での優雅なアフタヌーンティー、真冬の手を温めるティーマグ、暑い真夏だってフルーティーなアイスティー。本当にイギリスにはティーのイメージあると思います。

僕もダージリン(ミルク無し!)やアッサムが好きです。時々アールグレイやレディーグレイも飲みます。だけど、“TABI LABOの英国紳士(誰も言ってくれないけど)"である僕はコーヒー派なんです。池尻大橋にあるカフェ「BPM」のスタッフに聞いてもらえばわかります。ベンは毎日周囲に心配されるほど大量のコーヒーを飲んでいます。

まあ、現在のイギリスではコーヒー派の人が増えていますが、それでも自分は「本当にイギリス人なのか?」と考えます(笑)。僕の人格、ライフスタイル、考え方、そして、コーヒー中毒……僕のことをイギリス人っぽくないという友だちは多いんですよ。多分、前世ではイタリア人だったと思います。

さて、このイントロダクションはちょっと長ったらしいですね。この記事のテーマはイタリアのコーヒー文化です。ロンドン、東京、ニューヨークなどの大都市ではイタリアのコーヒーが飲めるけれど、本当の文化やルールはなかなか体験できないので、それを紹介したいんです。

Buongiorno!

(おはようございます!)

イタリアンコーヒー文化のゴールデンルール①

朝の一杯目は、午前11時より前。朝はカフェラテとか、カプチーノとか乳量が高いコーヒーを飲みます。

日本やイギリスでカフェラテやカプチーノといえば、一般的に朝ではなく、日中に飲むものですが、イタリアでは朝なんです。イタリアで昼間にそれらを飲んでいる人々はたいてい観光客です。

どうしてなのか?理由はふたつあります。

ひとつめの理由は朝食です。アメリカやイギリスと比較して、イタリアの朝食メニューは軽めです。自宅でライトなブレックファーストを食べて、家を出てからオフィスの周りのカフェでカプチーノと小さなクッキーを食べる、そんな習慣があるんですね。

ふたつめの理由は、イタリアでは伝統的に昼食の後で牛乳を飲むことは消化によくないと考えられているから。だから、11時以降、彼らはたいていエスプレッソを飲みます。

Caffè Per Favore!

(コーヒーお願いします)

イタリアンコーヒー文化のゴールデンルール②

ごめんなさい。この記事では、もうそのルールを破っています。

僕はさきほどエスプレッソという言葉を使いました。でも、イタリアでは「Espresso=コーヒー」です(イタリア語ではコーヒーをCaffèと言いますが、それは横に置いておきましょう)。イタリアにはドリップコーヒーやフレンチプレスがあまり存在していません。だからすべてのコーヒーはエスプレッソなんです。

このエスプレッソという言葉には「速達、急行」という意味があります。エスプレッソマシンが誕生した1884年当時、この最新マシンを使うことは、お客様への速達のようにすばやくコーヒーを提供できる作り方だったんです。

ちなみに、Latteという言葉も日本とは違う意味を持っています。東京のスタバで「ラテ」を注文すればカフェラテが出てきますが、イタリアでは「Latte」を注文すると牛乳が出てきます。「Caffè Latte」は「コーヒーに牛乳」という意味なんです。

Una Pausa

(コーヒーブレーク)

© Naomi Nemoto

イタリアンコーヒー文化のゴールデンルール③は、 「Pausa(コーヒーブレイク)」の取り方です。

イタリア人は1日に4、5、6回ものコーヒーブレイクを取ることが珍しくありません(そして僕も!)。

しかも、イタリアの多くのコーヒーショップにはテイクアウトオプションがありません。だから、コーヒーブレイクの時は店内です。

Pausaの取り方はシンプルです。バーに行って、大きい声で好きなコーヒーを注文して、コーヒーを一瞬で、一口で飲んで、周りの人とサッカー、天気、なんでもいいから話をして、オフィスに帰ります。立ったままでコーヒーを飲むことはスタンダード。バーによっては座ることでお金かかります。友達や同僚と一緒にPausaを過ごすのは普通です。彼らは「話しましょう!」よりも「prendiamo un caffè(コーヒーを飲もう)」と言います。

Campanilismo

(イタリア人が強く感じるお国自慢)

イタリアンコーヒー文化のゴールデンルール④、それはコーヒーはローカルなものだということ。都市によって全然違うものが注文できます。

「Campanilismo (カンパニリズモ)」という言葉があります。これは日本の市町村システムにおけるお国自慢よりもっと極端なものです。多くのイタリア人はあまりイタリアを故郷と考えていません。イタリア人にとって、州、町、村こそが故郷です。

よく言われる話ですが、北イタリアと南イタリアは、気候、文化、言語が全然違います。イタリア半島からちょっと離れたサルデーニャとかシシリアも距離感がすごいです。イタリア人は自分が住んでいる、生まれた地域以外のイタリアを気にしません。サッカーがわかりやすい。イタリアのライバルチームは大体同じ街や隣の街のチームぐらいです(例えば、最強のライバルラツィオとローマは同じスタジアムで試合をします)。

これはコーヒー会社にも当てはまります。トリノではLavazza(ラバッツァ)がローカル、トリエステでは(Illy)イリーになります。

ローカルなスペシャルコーヒーもあります。北東イタリアにはマロッキーノ(エスプレッソ、牛乳の泡とココアやヌテラ)がよく飲まれています。スイーツ系コーヒーです。ミラノの周辺では「カッフェ・ドルゾ」という麦から作られたコーヒードリンクも人気あります。

半分エスプレッソ、半分スピリッツで作った結構ハードなコーヒーカクテル「カフェ・コレット」はイタリア全土で飲めますが、これも都市や地域によってまったく違うものになります。ローマではグラッパが普通ですが、北には有名なスピリッツ、カンパリ、フェルネットブランカ、サンブーカなどがあります。あまり有名じゃないものもたくさんある。一口にスピリッツと言っても、地域によってすごいバリエーションがあるんです。まあ、個人的には80%のローカルなバリエーションは不味いと感じますけど……。

"Il conto, per favore."

(お会計ください)

最後のゴールデンルール⑤は僕が一番好きなルールです。

イタリアでは、どこに行ってもコーヒーが安いです。安いですけど、味は安っぽくないんです。コーヒーの値段も都市によって違うんだけど、150円も払えばイタリア人の目線からかなり高い方です。だいたい250円を超えたら、ボッタクリです。カプチーノにすれば、プラス25円ぐらいかな。そして、150円のコーヒーだって、コンビニコーヒーとはまったく別物です。雰囲気があるバーで、バリスタがいれたコーヒーがだいたい150円です。

コーヒー好きにはイタリアは最高だと思います。

もちろん、お店によるんだけど、美味しいパスタ、サラダ、デザートを食べて、うまいコーヒーを飲んで、お会計を見た瞬間で「へ〜、この値段、間違ってない?」と思う時がイタリアでは多いんです。

Top image: © Naomi Nemoto
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。