加速する「クルマ離れ」都内Z世代の7割超が実感

「若者のクルマ離れ」は、もはや聞き飽きた言葉になりつつある。たしかに、高額な維持費や駐車場代を考えると、クルマを持つことに二の足を踏むのも無理はない。

しかし、株式会社KINTOの「【2025年版】Z世代のクルマに対する意識比較調査」によると、事態はより複雑な様相を呈しているようだ。

都内Z世代の7割超が実感
加速する「クルマ離れ」の波

同調査によると、東京都内在住のZ世代(18~25歳)の72.8%が「若者のクルマ離れ」を実感しており、その割合は前年から21.5ポイントも増加。地方都市でも46.7%と、前年比12.7ポイント増と、クルマ離れの波は全国に広がっている。

©株式会社KINTO

物価高騰が追い打ち
「所有」のハードルは高く

背景として挙げられるのは、やはり経済的な問題だ。地方都市では「自動車の価格が高いから」がクルマを所有していない理由の1位に挙げられており、都内でも「自動車の価格が高いから」「自動車の維持費が高いから」が上位を占めた。

追い打ちをかけるように、近年の物価高騰ガソリン価格の高騰も、Z世代の財布を直撃している。同調査によれば、収入が増えても消費を増やさない理由として「物価上昇が賃上げを上回ると思うから」という回答が最も多く、Z世代の生活に対する不安が浮き彫りになった。

「クルマは好き」なのに……
所有に縛られない価値観

しかし、Z世代は本当にクルマに興味がないのだろうか。同調査では、約7割が「自動車を運転することが好き」と回答しており、将来的にクルマを欲しいと考える割合も都内で69.3%、地方では79.7%と高い水準を維持している。

この結果から読み取れるのは、「クルマが好き」「欲しい」という気持ちと「経済的な不安から所有は難しい」という現実の狭間で、Z世代は揺れ動いているということ。

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サブスク、カーシェア……
台頭する新しい選択肢

では、Z世代はクルマとどのように関わろうとしているのか。注目すべきは、多様化するモビリティサービスの利用意向

同調査では、クルマのサブスクリプションサービスを認知しているZ世代において、全体の83.7%が「検討したい」と回答している。所有という概念にとらわれず、必要な時に必要なだけ利用できるサブスクリプションは、経済的な不安を抱えるZ世代にとって魅力的な選択肢となり得る。カーシェアやライドシェアなど、自動車を所有せずとも移動手段を確保できるサービスの普及も、Z世代の意識変化に影響を与えていると言えるだろう。

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Z世代が描く、未来のモビリティ

Z世代にとって、クルマはもはや「ステータスシンボル」ではなく、移動手段のひとつに過ぎないのかもしれない。彼らは、経済状況やライフスタイルに合わせて、所有、サブスクリプション、カーシェアなど、最適なモビリティを選択していくと考えられる。

「クルマ離れ」という言葉に、どこかネガティブなイメージを抱いていた人もいるかもしれない。 しかし、Z世代の動向からは、むしろ新しいモビリティの形を模索する、彼らのポジティブな姿勢が見えてくる。

環境問題や都市部の交通渋滞など、モビリティを取り巻く課題は多い。「所有」という概念にとらわれず、自由な発想で、これからのモビリティのあり方を考えてみるのも良いかもしれない。

【2025年版】Z世代のクルマに対する意識比較調査

【調査方法】IDEATECHが提供するリサーチデータマーケティング「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
【調査期間】2025年2月18日〜同年2月21日
【有効回答】普通自動車免許を持っている都内在住のZ世代(18歳〜25歳)309名と普通自動車免許を持っている地方(政令指定都市がない県)在住のZ世代(18歳〜25歳)300名
※合計を100%とするため、一部の数値について端数の処理を行っております。そのため、実際の計算値とは若干の差異が生じる場合がございます。

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