言葉よりも「切り絵」で語るアーティスト
Maude Whiteの作品の繊細さには理由がありました。
彼女は、映像作家と物語作家の両親を持ち、映画と本に囲まれた環境で育ったアーティストです。書物の重みとその永続性のある存在感に惹かれましたが、読書はもちろん文章を書くこともしませんでした。
なぜなら、彼女が注目したのは、古くから物語を伝え続ける役割を担ってきた「紙」の強さにあったからです。
切り絵で描く絵は消しゴムを使ってカンタンに修正できるものではありません。微調整を繰り返しながら、気の遠くなるような作業を繰り返していきます。
もちろん、それだけ心身の疲弊も激しいもの。しかし、同時に安らぎを感じられるものでもあるため、こと強迫神経症の彼女にとってはなくてはならない存在だそう。
彼女が作品のモチーフとして扱うものには、鳥が数多く登場します。魅力的な女性を指す言葉として、気高さを象徴する存在として、さらには先祖が恐竜だったという一説から生物的な強さが感じられるとあり、憧れの女性象を象徴しているとも。
その他、ストーリーを感じさせる作品もいくつかあります。話すよりも切る方が、うまく説明できるとか。
影響を受けたアーティストには、画家のポール・ギュスターヴ・ドレ、マックスフィールド・パリッシュ、切り絵アーティストのエマ・ヴァン・リースト、ピーター・コールセン、スー・ブラックウェル、蒼山日菜の名まえを挙げています。
決してモチベーションは枯れない、とは本人談。彼女のInstagramでは、いまも新作が更新され続けています。
Licensed material used with permission by Maude White