江戸時代創業「富士屋旅館」が復活

万葉集に登場し、東郷平八郎、夏目漱石といった、政治家や文豪にも愛された静かな温泉保養地、湯河原を取材しました。向かったのは富士屋旅館です。

江戸時代創業とされる富士屋旅館が2002年に廃業した後、17年ぶりに営業を再開したのは今年の2月のこと。過去に洪水や火事で失われた建物もあり、残っていた建物もボロボロでしたが、官民一体で取り組んだ再生プロジェクトによって復活。

老舗旅館の風情と新しい設備の快適さ、こだわりの食など、再生された富士屋旅館でしか味わえない魅力がありました。

©TABI LABO 2019
©TABI LABO 2019
©富士屋旅館

藤木川にかかる赤い橋をわたって正面にあるのは、昭和43年に建てられた新館です。

敷地内にある3棟のなかでは最も新しいものの、激しく痛んでいたため今ではモダンに生まれ変わりました。障子や木製のインテリアから高級感のある和を感じます。

かつてはここに幕末期に建てられた本館がありました。天災によって消失し、貴重な文献もほとんど失われてしまったそうですが、富士屋旅館の随所から、万葉集で歌われた時代から変わらないであろう、湯河原の魅力を感じます。

©TABI LABO 2019
©TABI LABO 2019
©TABI LABO 2019

富士屋旅館で最も古い建物は旧館(大正12年築)です。その次が、昭和26年築の洛味荘。旧館と洛味荘は繋がっています。

正面から見える瓦屋根は、神社仏閣に用いられた様式が使われており、再生プロジェクトですべてを分解・再構築した瓦屋根職人を困らせたほど複雑なつくりです。

大正時代に建てられた和建築の雰囲気を保存するために、窓ガラス、廊下板、天井板といった備品は、できるだけ薬品で洗って再利用し、当時の様子を復元しています。

©TABI LABO 2019
©TABI LABO 2019
©TABI LABO 2019

窓ガラスの歪みも味。廊下板は配管のために切断しなければならない部分もありましたが、丁寧に張り直されています。

屋内の内装は、宿泊する部屋と同様に、新旧の境界線がどこにあるのか見た目にはほとんどわかりません。

なかには、文献がなく、どこで作られたのかわからない珍しい照明も吊り下げられていました。そういった細部に注目するのも富士屋旅館の楽しみ方です。

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