チームラボ衝撃の最新作「実体とは空虚」

NFTやメタバースなどの架空現実が普及してきた昨今、オーナーシップすなわち「所有するということ」の概念は変化し始めている。

移り変わるこの概念に、あの「チームラボ」が一石を投じた。先月末、「オーナーシップの模索」として、新たなNFT作品が発表されたのだ。

チームラボの作品といえば、明るく幻想的な「光」の表現を期待することだろう。しかし、その予想はおよそ裏切られることになる。

teamLab, Matter is Void - Black in White ©️ teamLab

炭で書かれたようなグラフィティ風の作品で、意外にもダークな雰囲気。中央に大きく浮かんだ衝撃的なステートメントは、「MATTER IS VOID」と表記されている。直訳すれば、「実態とは空虚」。

これは何を意味しているのか。

公式の声明によると、作品は一つしかないものの、デジタルアートは誰でも自由にダウンロードできることから唯一性を担保しているとは言い難い。

そして、誰がダウンロードしようとそれらを区別することはできず、そしてそれらはすべて「本物」であると捉えることもできるというのだ。

さらに、今は「MATTER IS VOID」となっている文字列は、所有者によって自由に書き変えることができ、誰かが文字を書き変えると他のすべての作品も連動してその文字へ変わるのだそう。

しかも文字は公転自転を繰り返しており、角度が変われば認識のできない「無意味なもの」になるらしい。

誰かが書き変えたとしても、回転すれば同じく意味を持たない文字列(文字ですらないが)になる……。

teamLab, Matter is Void - Black in White ©️ teamLab

このように、何重にもわたって「所有すること」そして「意味をなすこと」への疑問が投げかけられているというわけだ。

そもそも、「matter」も「void」もかなり意味の広い言葉であり、作品の意味・価値の解釈は人それぞれの認識に委ねられているのかもしれない。

たとえ文字列として、そして個体としての価値を失ったとしても、デジタル化の加速する現代において、きっと作品は深い意味を持ち続けるだろう。

「現実は空虚」とも捉えられるこの宣言は、今後チームラボが“新しい現実”であるメタバースへとシフトしていく前触れなのかもしれない。

詳細は公式サイトを参照。

Top image: teamLab, Matter is Void - Black in White ©️ teamLab
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。