米国で初承認「円形脱毛症」の新しい治療薬とは?
米食品医薬品局(FDA)は先月13日に抗炎症薬「バリシチニブ」を重度の円形脱毛症の経口治療薬として承認した。
アメリカで円形脱毛症の治療に飲み薬が認められたのは、これが初めて。
頭皮の内側で毛根を生成・保護する役割をはたす皮膚組織・毛包(もうほう)を身体が誤って攻撃してしまう(免疫機能の異常が生じる)円形脱毛症は、自己免疫疾患のひとつ。
今回承認されたバリシチニブは、細胞内のシグナル伝達システムに働きかけることで炎症を抑制する仕組みだそう。
同薬は、症状が重い成人向けで、1日1回服用するようだ。
気になる効果については……重症の被験者の約40%が、36週間後に著しい症状の改善が認められたとFDAは説明している。
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ただし、どんな特効薬にも副作用や使用上の注意があることは念頭に置いておきたい。
バリシチニブの場合、治療中および治療後も感染症の兆候や症状を綿密にモニタリングする必要があるという。加えて治療前にも活動性結核の症状、潜在性結核感染症の有無を確認する必要が。さらには、ウイルスの再活性化の兆候についても精査が必要のようだ。
投与にはそうしたハードルがあるものの、それを踏まえて治験結果から有効性を期待されている新薬でもある。
「FDA・医薬品評価研究センター」皮膚科歯科部門ディレクターKendall Marcus氏は承認についてこう振り返っている。
「安全で効果的な治療法へのアクセスは重度の円形脱毛症に悩む多くの米国人にとって極めて重要。今回の承認は、彼らが抱えるニーズを満たすのに役立つはずだ」。
治療薬の選択肢が広がることで、円形脱毛症に悩まされる人々が減りますように。
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