“もっとも危険な薬物”ことMDMAが、医療品として認められる可能性
世界で“もっとも危険な薬物”の一つ、3,4-メチレンジオキシメタンフェタミンことMDMA。
幻覚剤として危険視される違法薬物だが、アメリカではPTSD(心的外傷後ストレス障害)の治療薬としても長年研究されてきた。
そして、今年発表された最新の臨床試験の結果によって、その効果が正式に認められるかもしれない。
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“愛の薬”とも形容されるMDMAは一般的に高揚感や共感、空間や時間の感覚麻痺などをもたらすとされる。
研究によると、これらをトークセラピーと併用することで、セラピーの効果が高まることが確認できたそう。
MDMAの作用による、いわゆるハイな状態が信頼感や安心感をもたらし、プラシーボと比べて効果的だったうえ、許容範囲内の安全性も担保できたというのだ。
1980年代から続くこの研究は既にフェイズ3(薬品の大規模な臨床試験の最終段階)に入っており、副作用が許容範囲かつ効果的だと示されれば、FDA(アメリカ食品医薬品局)の認証を受けられる。
実際にFDAは「MDMAをPTSDの治療薬として認めることを真剣に検討する」と発表しており、賛否はあるものの認可はじきに降りる可能性が高い。
国際的に危険度レベルを下げる動きも見られる昨今、最も危険だった愛の薬も大麻のように「医療品」として脚光を浴びる日は近いのかもしれない。
Reference: MDMA-assisted therapy for severe PTSD: a randomized, double-blind, placebo-controlled phase 3 study, A psychedelic drug, combined with intense therapy, improves PTSD symptoms
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