新たなパンデミック、「北極」からはじまる可能性。

地球温暖化によって、氷河融解が進む北極。もしかしたら、新たなパンデミックの温床となるかもしれない……。

カナダのオタワ大学研究チームが、北極圏北部で最大の容積を持つヘイゼン湖の土壌と湖沼堆積物を採取し、DNAとRNA(リボ核酸)を分析。どのようなウイルスがどのような環境下で発生しているかを調査した。

すると、ウイルスが容易に宿主を転換(ホストジャンプ)することが確認されたそう。

これを踏まえてさらに調査を続けると、氷河からの融氷水がより多く含まれる水路で採取した試料ほど、ウイルスの「スピルオーバー(溢出)」のリスクが高いことが示されたとのこと。

つまり、北極の氷河からウイルスが漏れ出す可能性が高いという考察だ。

© WION / YouTube

研究論文の責任著者でオタワ大学のステファン・アリス=ブロソ准教授は、「ウイルスの媒介者や貯蔵庫となる種の生息域が気候変動によって北上すれば、高緯度北極圏はパンデミックが出現する温床となるおそれがある」と懸念を示した。

しかし、まだ現段階ではパンデミックの有無の断言はできない様子。同研究チームは、調査を深めていきたい意向を示している。

最果ての地が厚い氷のままでいてくれることに越したことはない。ただ、それとて地球温暖化の前には虚しい希望となってしまうのだろうか。

Top image: © Tomas Rebro/Shutterstock.com
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。