小惑星をどのように調理すればいい?小惑星をベースとした宇宙都市開発の可能性とは。

米ロチェスター大学の研究者が発表した、少々乱暴な理論をもとにした論文が興味深い。

小惑星を超軽量・高強度のカーボンナノファイバー(直径数原子の炭素でできたチューブ)のメッシュバッグで覆うことによって、宇宙都市開発の可能性を示唆している。

近年、様々な民間企業が宇宙開発事業に乗り出し、具体的に実現可能性の高い試みが進められている。その中でも、地球から溢れんばかりの人々とそのリソースを宇宙に移転させることは誰もが期待することであろう。

ロチェスター大学の研究では、小惑星に含まれる豊富な岩石層が放射線の盾となり、人類が居住するうえで重要な要素をはらむため、小惑星を活用した宇宙都市開発を理論的に試みている。

果たして、太陽系内に広がる直径1マイル以上の1000個あまりの小惑星が、人類の宇宙居住の道を開いてくれるのだろうか?

期待が広がる一方で、小惑星にはいくつかの欠点がある。

特筆すべきは、その自転によって地球の3分の1の重力に相当する力にすら耐えられないことが既にわかっているということだ。また、小惑星には固い岩石ではなく、弱い重力によって結合された謂わば「ガレキの山」。

もし、小惑星で宇宙居住を実現しようとするならば、「ガレキの山」をどのように扱うかを考えなければならないということになる。研究者による解決策はこうだ。

とてつもなく巨大で柔軟なバッグ

前述の超軽量で高強度なカーボンナノファイバーでできた柔軟なメッシュバッグで、小惑星を丸ごと覆うことを想定する。

このバッグは小惑星の瓦礫と、その中にある居住施設の質量全体を包んで支え、同時に回転する自身の重量をも支えるという構想。

「カーボンナノチューブ製の円筒形の格納袋は、小惑星の瓦礫や居住地の質量に対して非常に軽く、それらを保持するのに十分な強度がある」と、研究員のひとりPeter Miklavčič氏は同大学のリリースで述べている。

理論的な流れはこうだ。

小惑星を回転させ、人工的な重力を作り出すことで小惑星は必然的にバラバラになる。 破片は外側に飛び散り、小惑星を包んでいるカーボンナノファイバーのバッグを広げる。 バッグが広がりきるとカーボンナノファイバーはピンと張り、膨張するガレキを受け止める。 瓦礫が中に収まると、中にいる人の放射線を遮へいするのに十分な厚さの層ができあがり、円筒の回転により、内側に人工的な重力が発生する。

うーん、イメージしづらい。

現在、小惑星に宇宙都市を建設することはまだまだ理論的な段階に留まるが、人類の未来を見据える研究者たちが、その歩みを止めることはないだろう。

Top image: © iStock.com/FlashMovie
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。