【金月そば】「沖縄つけそば」に感じた、新たな可能性

沖縄そばを取材したいと思ったとき、正直どのお店にするべきかすごく悩みました。

スープにこだわっているところ、三枚肉のインパクトがすごいところ、古民家風の雰囲気がいいところ…。特徴はお店ごとによって違うし、そもそもたくさんあるからです。

そんなとき、やっぱり「麺」にこだわっているところにしようと決めました。伺ったのは、「金月そば」の恩納店。そこで、沖縄そばの歴史と、今の時代に合わせてどんなアップデートに挑戦しているのか、知ることになったんです。

外麦じゃなく、国産。
茹で麺じゃなく、生麺。

きんつきではなく「きんちち」と読むそうです。

読谷、恩納、那覇に店舗があり、それぞれに異なった楽しみ方ができますが、この恩納店には「つけそば」があります。そもそもお店自体が製粉所も兼ねていて、沖縄小麦100%の地粉麺も食べられます。

代表の金城太生郎さんにお話を訊きながら、早速「つけそば」をオーダーしました。

5e6a7f3a81abe09d2135542cb9a520f0775a0ce3

—— 県産小麦へのこだわりを教えてください。

「そもそも熱帯気候の沖縄は麦の栽培に適さないと言われてきましたが、じつは戦前より麦を栽培してきたという記録があるんです。ここ最近は、主に北米産の小麦が使われている沖縄そば業界ですが、1杯のなかに少しでも県産の小麦が入ることで食料自給率が向上することを夢見て、取り組み始めました」

—— 製粉、製麺もされているんですよね?

「はい、当店も所属する沖縄県麦生産組合(沖縄県内で15農家)より委託を受け、製粉業務を行なっています。オーガニック栽培小麦なので、栄養価の高い小麦の外側の『外皮・フスマ』の部分まで石臼を導入し、麺に使っています。

また最近は生麺を使う沖縄そば屋さんが20軒ほどあるようですが、金月そばがスタートした10年前は3軒ほどでした。沖縄そば業界の90%以上が『茹で麺』であるなか、提供前に麺を茹でることで、麦本来のモチモチ感とコシを味わってほしいと思っています。また、ベースとなる小麦は熊本産100%で、国産小麦で運営しているところも特徴ですね」

—— メニューに「つけそば」があるのも、そのあたりに理由が?

「そうですね。つけ麵スタイルのそばは、より麺の味を感じてもらえますし、『生麺』だからこそ香る小麦の風味があります。ゆで上がったときの喜びをお客さんにも届けたくて、その方法のひとつとして『つけそば』を提供しています」

—— 異端、と言われることもあるとか?

「沖縄そばが “文化” として浸透してきたのは、戦後だと思います。当時、米軍から配給される食品のひとつに小麦粉がありました。冷蔵システムのない時代、日もちがよく手軽な『茹で麺』が消費者に支持され、その茹で麺文化がなお色濃く残る現代においても、金月そばが提供するものは “異端” だと自負しています。

ちろん、沖縄そばの『外麦(外国産小麦)』『茹で麺』が、戦後沖縄の食文化を支えてきたことは間違いありません。そんな風に先人の食卓を支えた沖縄そばを、ただ形を変えるのではなく、当時の歴史やそうせざるを得なかった時代背景も自分たちのなかで消化し、これからも続いていく新しい沖縄そば文化の一部になれればと思っています」

ちなみに、この日食べたたまごやつけあわせの野菜も、沖縄県産です。

B811076f78aae556862bf9d79072a1641bf9f4fc

金城さんのお話に「なるほど、なるほど」と頷きながら、絶妙なモチモチ麺をペロリといただきました。

つけだれは2種類あって、スタンダードなのは豚骨と鶏だしを長時間かけてとったもの。紅豚とやんばる鶏を使っています。

上の写真は、「赤だれ」と呼ばれるもので、自家製の唐辛子味噌と独自のだしをブレンドしたもの。辛いのが好きな人はこちらがオススメです。

Db70a3a7bbc5ac3d4d378112f7d1d0929c32cebb

セットで食べた「やんばる鶏ジューシー(200円)」。ジューシーは、沖縄風の炊き込みごはんのこと。香りが良く、やさしい味です。

707f1470008207b9a2dfbfccb5ffffda83ce3f9c

最後に、他の店舗の特徴も伺いました。

読谷店は、店舗食器に『やちむん(焼き物)』を取り入れるなど、新しい沖縄そばの可能性を提案する、コンセプトショップのようなイメージです。

一方で恩納店は、小麦作りに携わる地産地食のお店。小麦の栽培・製粉など、食材の基礎となる部分を見つめ直して、消費者へ沖縄そば(とくに麺)の原材料をもっと知ってもらいたい、という狙いもあります。なかには小麦からできていることさえ知らない人もいるので、それを県産という切り口で沖縄そばへの “ワクワク感” につなげていきたいと考えています。

那覇にある国際通りむつみ食堂店は、57年続いた『むつみ食堂』を引き継ぐ形で2017年3月にスタートしました。食堂メニューも取り入れた金月そばの新しいスタイルとして展開しています」

5aad4f4c1b658fd4a1bd6e6eb1edfbc0ef41ba62

金月そば 恩納店

住所:沖縄県恩納村名嘉真8-3
TEL:098-967-8492
営業時間:11:00〜16:00
定休日:月曜日(祝日営業)

Photo by JAPAN LOCAL
11月末に代々木公園で開催される「大江戸和宴 〜そばと日本酒の博覧会〜」。2年目となる今年も、昨年に続いて全国のそば処、酒処から選りすぐりの逸品が集合する...
タイフェスやアイルランドフェスなど国際イベントが多く開かれているイメージの代々木公園。しかし「和」のフェスもありますよ!6月16日より「大江戸和宴 〜大江...
やんばるのオアシスとも言われる、大宜味村の「ター滝」。亜熱帯のジャングルを探検しているような気分になれます。海遊びとはひと味ちがうリバートレッキングが、こ...
悩みのタネになっていた「理想的な沖縄みやげ」に、ひとつの答えが出た気がします。それは「謝花きっぱん店」にある冬瓜漬という伝統的なスイーツです。絶妙な甘さと...
遠い、だから美味い。芋焼酎の銘柄で知られている「霧島」の地に、宮崎を訪れた友人を必ず連れて行く手打ちそばのお店がある。宮崎と鹿児島の県境、霧島で営業するそ...
長寿県で知られる沖縄(現在は長野県が第1位)。独特の食習慣や暮らしぶりは「世界的にも特質すべき点が多々ある」と、「Collective-Evolution...
果報バンタ、フクギ並木、古宇利大橋、大石林山、あがいてぃだばし、ター滝、ワルミ大橋など、沖縄本島の車で行ける絶景スポットを集めました。今のうちにゴールデン...
沖縄の郷土料理「イナムドゥチ」は、言うなれば具沢山の味噌汁のこと。お祝い行事やハレの日にふるまわれるお椀として、古くから島の人々に愛されてきた味です。この...
7月初旬に行われた「Corona Sunsets Festival 2017」。照りつける太陽に恵まれ、オーディエンスも、ワークショップも、ビーチも盛り上...
「BACAR」は、県庁前駅から少し歩いたところにひっそり佇むピッツァ屋さん。外から見た印象が暗いので “ひっそり” と書いてはみたものの、実際は大繁盛店の...
ここは、極東最大のアメリカ空軍基地・嘉手納飛行場を有する本島の中部エリア。大型施設が立ち並ぶ海岸線とは対照的に、58号線を挟んだ陸側は、緑が豊かな落ち着い...
沖縄の人口の1割は、何が起きても救助されない沖縄の人口の約1割は、たとえ重体で命の危険に晒されていたとしても救助されない。医師がいないため、助けに行くこと...
日本列島が猛烈な寒波に見舞われた1月24日、寒さにめっぽう弱いはずの沖縄県民(の一部)は、なぜか喜び勇んで寒風吹きすさぶ浜に繰り出したそうです。彼らが目指...
「ゆうなんぎい」のお母さん、辻野愛子さんが出してくれたのは、泡盛を使ってトロトロになるまでやわらかく煮込んだラフテー。醤油系のイメージが強かったから味噌味...
「1日、ここでまったり仕事をするのもいいなぁ」。そんな風に思ってしまった場所があります。北中城の外国人住宅が集まっている丘を上っていくと、たどり着いたのは...
「キャプテンカンガルー」は、大阪にBARスタイルの本店と、沖縄の名護にハンバーガースタイルの店舗をもつ人気ショップ。2015年にはトリップアドバイザーのエ...
カフェであり、雑貨屋さんでもあり、撮影スタジオでもあり——。そんな空間を沖縄で見つけました。外国人住宅をリノベしている「わわcafE」は、立ち寄るだけでも...
沖縄県宮古島を拠点にドローン空撮を提供する「Cine Aerial」が、空からしか分からない宮古島の魅力を動画にしました。美しいサンゴ礁、どこまでも続く白...
沖縄県那覇市のパラソル通りにある、「みんなのほんだな」を知っていますか?本棚と聞いたら、自分のお気に入りを揃えていくイメージかもしれませんが、コレはひと味...
2017年9月にオープンした「AIEN Coffee and Hostel」は、沖縄初のカフェ&ホステルという形態です。お店の名前は、フシギなめぐり合わせ...