【ゆうなんぎい】郷土料理の本当の意味を教えてくれたラフテー

「本格的な郷土料理が食べたいなぁ」。

沖縄入りする前、ぼくはそんなことをぼんやり考えていました。それは、いま思うと恥ずかしいくらい言葉通りの“ぼんやり”で、そこに知識もなければ、特別な想いもなく…。

ゴーヤーチャンプル、ナーベーラー、ミミガー。なんとなく耳慣れない言葉がついている食事にさえありつければ、それが「=沖縄料理を食べたこと」になると思い込んでいたんです。

でもそれは大きな間違いだった、というお話です。

昔は
「こんな料理でお金とるの?」
って言われました

Cd09737e3c454f87613b42fc26f4c3c0060e973a

「沖縄の郷土料理と言っても、そもそもはそれぞれのお家の家庭料理ですからね。味付けも違えば、仕込みも違う。うちのラフテーなんて、自家製の味噌で味付けをしていますから、沖縄でも珍しいと思いますよ」

「ゆうなんぎい」のお母さん、辻野愛子さんが出してくれたのは、泡盛を使ってトロトロになるまでやわらかく煮込んだラフテー。醤油系のイメージが強かったから味噌味は新鮮だったけど、これが最高にうまい。

3fd633e7721b4cf37aa8c962ae8a7aa356e9575a

国際通りから少し入ったところにある「ゆうなんぎい」は、地元客も観光客も溢れる人気店。トリップアドバイザーの影響もあって、今では外国人も多く、時間帯によっては行列を覚悟する必要あり。ただ、ここでスルーしてほしくないのは「地元客も多い」ということ。

もちろん立地の良さやお店の雰囲気、そして何より“おいしい”という理由もあるけれど、そこに郷土料理の本質があるように思うんです。

ずっと「そこ」にある
レシピ

C0b3eb18b1db83f7c03b2a28dfe5741344693985

メニューの裏にあるのは、創業当時の写真。1970年(昭和45年)、この時代の屋号は「YUNANGI」です。

「ラフテーもチャンプルーも泡盛も、当時は本当に家庭料理。だから地元の人から『え、こんな料理でお金とるの?』なんて言われたこともありました。それが今では沖縄料理としてたくさんの人が食べに来てくれたり、長寿料理として話題になったりしていて、少し不思議な感覚ですね。うちは創業からほとんど同じレシピだし、この40年くらいで周りの環境がどんどん変わっていったんですよね」

ゆうなんぎいA定食
2,900円

40dedbd82ce790a1602fcfddb6986d62b19991cb

辻野さんの話を聞きながら、改めてこう思いました。

「本格的な郷土料理が食べたい」

—— 今度は本気です。

 

「ゆうなんぎいA定食」は、

・ラフテー
・グルクン
・フーチャンプルー
・ミミガー
・ジーマーミ豆腐
・カラスドーフ
・クーブイリチ
・いなむるち
・ごはん
・お新香

のすべてがセットになった、ふたりで食べてちょうどいいくらいのボリューム定食。

Ac0d8a8743da01ab0c45ed45795d9d59f225ea8c

麩とコーンビーフの組み合わせが病みつきになる「フーチャンプルー」

250924a6ef724412d9f8ef032a1f43bb88579875

沖縄の県魚「グルクンの唐揚」。タカサゴとも言います。

9d5e5e50816d51bb14f2924d121277ea7ecc51e1

沖縄では、お祝いの席などで出てくる「いなむるち」

Dde2ab5086645b0a939b5218e29209823dd41e0d

昆布のミネラルたっぷりの「クーブイリチ」は、チャンプルーやラフテーと並んで沖縄三大料理とも言われる長寿食。

19131ca7ec9473b98c6a4ab33ca1e5b1b9255314

これぞ、沖縄のお父さんたちのお酒のつまみ。スクガラスという小魚の塩辛と、豆腐を組み合わせた「カラスドーフ」

446d48b42b640cccd34e8161a5bc2ea1cfdb2c10

思った以上にさっぱりしていておいしい、「ミミガー(豚の耳の酢の物)

85b4086c0c2720ce760f657f1e1d67ae60f5987b

これは定食セットには入ってないんですが、どうしても食べてみたくて追加注文した「ナーベーラみそ煮」。ナーベーラはヘチマのことです。ここでも活かされていた、自家製の味噌。

地元の人でも「それまでナーベーラは得意じゃなかったけど、ここのを食べて好きになった」っていう人がいるほど。

57fb4993f1402312e69ec97709c331bfadc7b34b

沖縄について何も知らずに食べるのは失礼だし、かと言って勝手に崇めるのも失礼。

「郷土料理」は昔からそこにあったものだし、そこにあるからこそ意味があるんだと思いました。

とてもおいしかったです。ごちそうさまでした。

「ゆうなんぎい」

住所:沖縄県那覇市久茂地3-3-3
TEL:098-867-3765
営業時間:
昼 12:00〜15:00
夜 17:30〜22:30

Photo by JAPAN LOCAL
沖縄の郷土料理「イナムドゥチ」は、言うなれば具沢山の味噌汁のこと。お祝い行事やハレの日にふるまわれるお椀として、古くから島の人々に愛されてきた味です。この...
ひと袋に何個も入っているじゃがいもを買うと、料理によってはいくつか余ってしまうことがあります。使い回しが利く野菜だけに、1個ずつでも料理に使えるのですが、...
フードクリエイティブファクトリー暮らしを楽しくするキッカケになる記事を書いています。「大切な人との暮らしをもっと楽しく」を理念に活動する食と暮らしの企画制...
グラタンの味を左右するのは、ひとえにホワイトソースづくりです。ゆるすぎたり、焦がしてしまったりをいかに防ぐか、そこにこの料理の奥深さがあるわけです。が、フ...
せんべい汁は青森県八戸市を中心に、青森県南〜岩手県北周辺で食べられてきた郷土料理。鍋専用の南部せんべいを鍋の中に割り入れて煮込むと、美味しい出汁がしみ込ん...
どんなに忙しい日でも、「おいしい」に妥協したくない人たちの冷蔵庫には、つくりおきのお惣菜がいくつもあるものです。すぐに食べられる常備菜をつくっておけば、何...
トマト、グリーンピース、チョリソー、半熟卵を使った「フラメンカ・エッグ」という名の料理があります。もちろん出自はスペイン、セビーリャの郷土料理。なんでも、...
沖縄県那覇市のパラソル通りにある、「みんなのほんだな」を知っていますか?本棚と聞いたら、自分のお気に入りを揃えていくイメージかもしれませんが、コレはひと味...
悩みのタネになっていた「理想的な沖縄みやげ」に、ひとつの答えが出た気がします。それは「謝花きっぱん店」にある冬瓜漬という伝統的なスイーツです。絶妙な甘さと...
いま発酵食品が見直されているのは、漬物や酒粕などに含まれる乳酸菌が、日本人の腸にとってもやさしい働きをしてくれるから。こうした日本食文化の知恵がつまった、...
読谷、恩納、那覇に店舗を構える「金月そば」。それぞれに異なった楽しみ方ができますが、ここで紹介する恩納店には「沖縄つけそば」があります。そもそもお店自体が...
お米が旬をむかえ、全国から新米の便りが届きはじめました。ほかほか炊きたてごはんの美味しさは、わざわざ書くまでもなく。そこで、ここでは「五平餅」にすることで...
トマト、オリーブ、鶏肉などを炒めた上にチーズをのせてオーブンで焼き上げる…こうつくり方だけ聞くと、南欧料理を想像してしまう。けれどこれはベネズエラ沖合のカ...
冷蔵後を開いたら、買いすぎてちょっとだけ余らせた「野菜」しかない。そんなとき「お肉があればな〜」と悩む必要は、もうありません。ちょっとしたひと手間と、調味...
料理が面倒なときに思い出すナンシーさんの言葉。30年前にアメリカから日本に移住したナンシー八須さんは、埼玉の農家の夫と結婚し、今や料理研究家として多忙な日...
揚げてから時間が経ってしまったフライドポテトの残念さったらありません。ま、あれはあれで美味しいという意見もあるでしょうが。で、その残りものポテトでもおいし...
モロッコ料理というと、とんがり帽子のような鍋蓋が特徴的な“タジン”を思い浮かべる人が多いだろう。確かにこの煮込み料理はモロッコ料理の代名詞で、ベジタブル、...
写真の中の料理をデータに取り込むことで、100万種以上のデータベースより近似値を見つけ出し、原材料とレシピを割り出してくれるという、画期的なシステムをMI...
地方の自然、環境、風土などの条件下で育まれてきた、知恵の集積である「郷土料理」。地方の過疎化に伴い、代々受け継がれてきた味は全国各地で消えつつある。そんな...
この料理つくってみたい。けど、野菜のみじん切りが多すぎて…。こんなふうにして挑戦しようとした料理を諦めてしまった。ありますよね。料理を職としている私たちだ...