アーティストが「危険すぎる遊び場」を創造、賛否両論に?

先日、オーストラリア・メルボルン郊外のサウスバンクに、市の広場整備事業の一環としてある「変わった遊び場」がオープンした。

「Rocks on Wheels」という名前のこの遊び場、一体どこが普通ではないのかというと……。

©ROCKS ON WHEELS
©ROCKS ON WHEELS

なんと、遊具は高く荒い岩の上や間に置かれており、一部の岩は、重ねられたバケツだけで支えられているようにもみえる。

もっとも衝撃的なのは、それらの岩が、台車の上に置かれていることだ。これには、親たちも思わず不安になってしまいそうだが……。

しかし、心配する必要はない。この遊び場をデザインしたアーティストのマイク・ヒューソン氏は、視覚芸術構造工学の両方の学位を取得しており、さらには重土木建設のバックグラウンドも持っている。

そう、この作品は、危険に見えるよう「意図的に」設計されているのだ。

©ROCKS ON WHEELS

これらの岩は、実際には目に見えない鉄の棒で地面にしっかりと固定されている。硬い石のような地面も、落ちたら痛そう……と思いきや、実際には弾力のあるゴム製の床でできているのだとか。

こうしたデザインのきっかけとなったのは、2011年に彼の故郷ニュージーランドで起きた「クライストチャーチ地震」だ。大聖堂が崩壊し、彼の家が取り壊されるのを目の当たりにするなかで抱いた「危険からは逃れられない」という考えが、今回の作品にも反映されている。

そしてメルボルンの市長は、ヒューソンの設計が安全であることを強調したうえで、このような「リスク・プレイ・パークは、子どもの発達を促すことが専門家によって証明されている」と主張する。

考えてみれば、どうやって遊ぶのかがあらかじめ決まっているような、リスクのない退屈な遊び場よりも、筋書きのない自由な彫刻の世界を探索する方が、きっとワクワクするはずだ。

なじみのない空間に飛び込み、自分の限界にチャレンジしてみる機会は、ついリスク回避を好みがちな現代人にとって、実はとても貴重なものなのかもしれない。

ちなみにヒューソン氏は他の地域でも、彫刻と公園が一体となったパブリックアートを制作している。彼の作品をもっと知りたい方は、ぜひこちらのサイトを覗いてみてほしい。

Top image: © ROCKS ON WHEELS
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。