賛否両論?EUがジェルネイルの一部成分を禁止。生殖毒性の懸念
マニキュアよりも長持ちし、速く乾くことから多くの人に支持されているジェルネイル。
『CNN』によると、その利便性を支える一部の化学物質がEUによって使用禁止となったという。「生殖毒性物質」に分類されたことが理由らしい。
なぜ「TPO」は禁止された?
今回禁止の対象となったのは、「TPO(トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド)」という化学物質。
これは、ジェルネイルをUVライトで硬化させる際に化学反応を促す「光開始剤」として機能する成分だ。
EUの決定は、動物実験においてTPOが精巣の異常や繁殖能力の低下といった生殖毒性を示した研究結果に基づいている。
非営利団体Environmental Working GroupのDavid Andrews氏によると、特に頻繁に施術を受ける消費者や、日常的にこの物質を扱うサロン従業員にとって、懸念が大きいとされてきた。
過度な心配は不要とする専門家の見解も
一方で、化粧品化学者のKelly Dobos氏は、利用者が過度に心配する必要はないとの見解を示している。
問題となった動物実験は、物質を経口投与する形で行われたものであり、爪に塗布するという実際の使用方法とは曝露の経路が根本的に異なると指摘。
人間の爪に使用される限りにおいては、非常に安全だと考えられるという。
また、今回の規制はジェルネイル製品そのものを禁止するものではなく、あくまでTPOという一成分を対象としたもの。
Professional Beauty AssociationのDoug Schoon氏も、代替成分を使用した製品は引き続き合法的に販売されると声明で述べている。
予防を重視するEUと事後対応の米国
この規制は、化粧品成分に対するEUの「予防的アプローチ」を象徴している。
健康への有害性が示唆された化学物質を積極的に禁止するEUに対し、米国食品医薬品局(FDA)は、問題が発生してから対応する「事後的アプローチ」を取ることが多いと専門家は分析。
そのため、米国ではTPOは依然として使用が認められている。
英国では来年にも同様の規制が導入される見込みだが、米国で連邦レベルの禁止措置が取られる可能性は低いと見られているようだ。






