いま、アメリカのビーチで深刻化する「風船問題」を知ってますか?

ビーチでの「風船」禁止!

先日、カリフォルニア州オレンジ郡にある小さな沿岸都市ラグナ・ビーチにおいて、風船の販売と使用を禁止することが発表された。

新たなルールは2024年から開始され、公共の場や都市イベントでの使用が禁止となり、違反した場合、最大500ドル(約7万円)の罰金を支払うことになるようだ。

この決断に至ったのは、風船そのものが海に及ぼす影響を見越してとのこと。そう、風船は漂流・漂着ごみの原因のひとつだから。

風船の原料であるラテックスは、カメなどの海洋生物たちが誤って食べてしまう可能性があり、そのリスクは海鳥によるプラスチックの誤食より、ラテックスの方がおよそ32倍も死亡リスクが高いという。

ラテックスは分解されるという意見がある一方、「アメリカ海洋大気庁(NOAA)」の担当者は、懸念とともに新ルール施行に期待を寄せる。

「風船を生産する際に使用される可塑剤が分解を遅らせる可能性があること。そして、土で分解されるよりも海中の方が遥かに時間がかかってしまうことが、今回の海岸都市における風船の新ルールに繋がった」。

© AP Climate / Twitter

ちなみに「風船規制」はこれが初めてではない。

2021年にはメリーランド州とバージニア州が“風船飛ばし”を禁止とし、その翌年の2022年にはハワイ州でも規制が始まった。

現在、アメリカではニューヨーク州やフロリダ州でも同様の規制を検討しているとのこと。なかでも、ラグナ・ビーチのような海岸都市さらなる厳しい規制をかける可能性もあるようだ。

「Ocean Conservancy(米環境擁護団体)」のAnja Brandon氏は、これについて「海岸都市はこういった環境への悪影響を第一に受ける場所であり、衛生保全のために税金を払っているのが現状だ」と『The Guardian』にコメント。

ビーチを管理・運営する一部の企業、人々だけ多くの税金を支払うことで海洋ゴミの流出を避けようとするよりも、利用者全体で環境保全に取り組む。ビーチでの過ごし方にも今の時代に即したアップデートが必要ではなかろうか。

徐々に広がる風船規制というルールが、全世界で新たなスタンダードになる日は、そう遠くないのかもしれない。

Top image: © iStock.com/EMPPhotography
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。